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ノースシ・ノーライフ(3-9)

 如何にも首領めいた奥ゆかしいタタミ敷きの大広間、その大台に座すソウカイヤ首魁ラオモト・カンの御前にデッドレインとレインボーフードは直立していた。

 ラオモト・カンの両隣には当然のごとくソニックブームとヘルカイトが控えている。二人とも此度のイクサから無事帰還していたのだ。

「ムハハハハ!実に良い!その方らの働き実に見事であった!ザイバツのネズミどもの企みはこれでイチモ・ダジーンにしてくれる!」

 ラオモト・カンはシックスゲイツ二人が無事帰還し、なおかつデッドレインが奪取したザイバツの機密潜入データの内容からザイバツの計画を未然に防いだことに実際ご満悦であった。

 もっとも、レインボーフードにとってはこの恐るべきデモリッション・ニンジャのニンジャ存在感に気圧されっぱなしで褒められている気など微塵も感じられないのであった。デッドレインはというと流石に普段の軽いノリは封印し、キリっとした表情でラオモト・カンの訓示を受けている。

「ヨシ、此度の働きを評価し褒美をつかわす!」

 ラオモト・カンの合図に応じて傍仕えのオイランが恭しく札束の積まれた三方を手に二人の前に歩み寄っては札束を差し出す。

「アリガトゴザマス!」

 恐縮して平伏する二人。その様子を見てラオモトは高らかに笑う。

「ムハハハハッ!ケンキョなことよ!その方らの活躍期待しておるぞ!」
「ハイヨロコンデー!」

ーーーーーーー

「あ~……生きてるっていいっスねぇ……あ、タマゴおねがいしゃす」
「ハイヨロコンデー」

 ラオモトの評価タイムから解放された二人はいつも通りのポジションに戻っていた。レインボーフードはソウカイヤアジト内のスシ・ショップ仕えに、デッドレインはその客であった。

 ミッション中の姿とは打って変わって生き生きとスシを握っては提供するレインボーフードの姿に苦笑しつつタマゴ・スシを頬張るデッドレイン。
 そんな二人の日常に稀なる客人が現れた。

「ドーモ、レインボーフード=サン」
「ドーモ、ヘルカイト=サン。ラッシャーセー!」

 ヘルカイトである。見た目こそ未だ治療の名残として包帯をいくらか巻いている物の、その足取りはしっかりとしており既に復調していることが見て取れた。デッドレインの隣のカウンターにおくゆかしく座るヘルカイト。

「……マグロを頼む」
「ハイヨロコンデー」

 ニンジャ身体能力を生かし素早くスシを握るレインボーフード。作法こそ一般的なスシ職人のムーヴでありネタとシャリを空中回転合体させてスシにするような芸当こそしないものの、そのワザマエは本物であった。

 芸術品めいた美しいマグロスシを躊躇なく掴んで頬張るヘルカイト。そして熱い高級チャをすする。その表情はレインボーフードからはうかがい知れないが、手ぶりでもう一貫求めていることを知らせてきた。すぐさま次のスシに取り掛かるレインボーフード。

「生きている、というのは良いモノだな」

 ヘルカイトがこぼした言葉をそれぞれの意味でスシに集中していた二人が気づく事はなかった。

【ノースシ・ノーライフ(3-9):終わり:4-1に続く

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レインボーフードエピソード第一話についてはこちら。

元になったTRPGソロシナリオについてはこちらをご参照のほどを。

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