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【詩】色のない世界

色をなくしたその世界で
僕は色を探していた


色がないと
判別できないものが多いのだと気がついた

信号が機能しなくなっていた
食べ物を見た目で判断できなくなった
人の顔色を伺えなくなった

物を表現する時
色を用いることが多いのだと初めて気がついた

今まで色から多くの情報を得ていたようだ
安全かどうか判断することが難しくなった


色をなくしたこの世界
僕は未だ色を探している


色以外にも
情報はたくさんあるのだと気がついた

音や匂いや手触り
味や食感
形や作り

生まれたばかりの赤ちゃんは視力が弱く
全てが白と黒の世界

だから手で触り口で確かめる

全てが未知のその世界で
一から安全かどうかを確認していく


色は大事な情報源
でもそれに囚われていては見えないものもある

カラフルなきのこは毒きのこに見えるが
案外安全そうなきのこに毒があったりする

綺麗な見た目だが
中身は毒で溢れている


色をなくしたその世界では
見えていなかったものが見えてくる

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