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30年の歴史を支えたグリーンベイ方式=「複数市民オーナー制度」~Xリーグ所属を可能にした”0→1”の取り組み



NFL グリーンベイ パッカーズの「市民オーナー制度」

本投稿の冒頭の画像が何を意味するか分かる方はいらっしゃいますか?
これは本拠地所在地の街、グリーンベイの住民数が10万人と米国では極めて小さな街にもかかわらず、長年強豪チームであり、熱狂的なファンを持つNFLの グリーンベイ パッカーズの象徴、パッカーズの「株券」です。

かつてメインスポンサーが契約を打ち切り、チーム経営の崖っぷちにあった際、チームを救うべく「The Hungry Five」と呼ばれるメンバーが「グリーンベイ・フットボール株式会社」を設立。株券を発行し、10万人のグリーンベイ市民に販売し、資金調達をして経営難を乗り越えたとのこと。
この株は通常の株とは異なり、個人売買禁止で配当はなし。株主に与えられる特別な権利は、オリジナル商品の購入権利、そして「パッカーズのオーナーの1人であるという名誉」のみです。そしてトレードは禁止ですが、親族で相続することが可能。これが10万人しかいない街のチームが、常に会場には熱狂的なファンを集め続ける理由、「市民オーナー制度」なのです。
(詳しくは、冒頭写真のリンク先=NFL超入門!~群雄割拠の32国志演義~ へどうぞ)

MAJIK MIRROR さんサイトより:パッカーズの本拠地ランボーフィールドは常に満員

「何故ブルザイズが自らを『10万人の市民チーム』と呼ぶのか」

ブルザイズは93年に創部、94年に当時の日本社会人アメリカンフットボール協会に準加盟(全勝)、95年に4部に正式加盟、入替戦にも勝利。最短スピードで96年からは3部(現在のX3)に所属するはずでした。
しかしながら、1996年はXリーグ発足初年度。1部はもちろんのこと、3部ですら上場企業の冠スポンサーを持つチームがほとんどの中、「ブルザイズ東京」はスポンサーの無いチーム基盤の不安定なチームとして、Xリーグ1部に昇格するラインに乗れない「メトロポリタンリーグ」所属になりました。

「俺たちはどんなに頑張っても、上には行けないのか…」多くのメンバーが落胆する中、グリーンベイの「市民オーナー制度」、すなわち大企業1社にチームの運営費を頼るのではなく、地元の市民に株を購入してもらい、ファンを増やしつつ資金を調達する仕組みを、当時の代表の大社充氏が、Xリーグに加盟するために応用し、日本で”0→1”の取り組みとしてブルザイズに初導入しました。これが自らを『10万人の市民チーム』と呼ぶ由縁です。

97年 メトロポリタンリーグ 最終戦 、全勝優勝で同リーグを卒業。Xリーグ加盟が認められました

3部に所属するには、当年度シーズンに優勝し、入替戦に出場し勝利した場合 X2(2部)に所属するための費用約400万円を即準備できることが求められましたが、大社氏が集めた市民オーナー会員数十名(当時からブルザイズのオーナー会員費は「10万円」 )をはじめ、選手が集めた後援会員(3000円、1万円)の会費により、この基準をクリア出来るようになりました。大社氏の創造性溢れるチーム運営構想と、チーム自体がメトロポリタンリーグで96年、97年を全勝で2連覇したこともあり、資金面、実力ともに認められ、遂に98年Jr-X(現在のX-3)に所属となりました。以来ブルザイズは、特定のスポンサー1社に頼ることなく、市民オーナー制度、さらに複数スポンサー制度により、Xリーグで活動を続けています。 

「市民オーナー制度」は当時、独創的な取り組みとして全国版の朝日新聞にも掲載され、
その後多くのスポーツクラブが参考にするものとなりました(1998年8月 朝日新聞より)

30年の歴史を支えた「複数市民オーナー制度」

強い資金力を持つ大口スポンサー1社を持つことは、チーム基盤が安定すること、またチーム強化等のかじ取りをトップダウンでスピーディーに行うことができるというメリットがあります。一方で逆もまた真なりであり、一気にスポンサー撤退=廃部or弱体化というリスクを抱えます。

Xリーグ発足後、東証一部(現在のプライム市場)上場企業がスポンサーだったチームで、スポンサー企業が撤退したチームは、私の記憶だけで10を超えます。中にはチーム自体が廃部になったところも多数あります。
そのような状況下、ブルザイズが30年間存続し続け、かつX1AREAに所属できているのは、この複数市民オーナー制度を愚直に継続してきたからと考えています。現在ブルザイズは、昨年度のクラウドファンディングでの支援者も含めると、約300人の個人の支援者・会員の方々に支えて頂いています。

X1SUPER昇格を考えたときに、個人会員の獲得だけでは、チーム予算としては十分にはならないかもしれません。しかしながらこの「複数市民オーナー制度」をチームのDNAとして維持しながら、発展させていくことで、X1SUPERのステージに立つことができるよう、取り組んでいきます。

23年三菱商事クラブトライアックス戦後 記念写真  

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