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安倍さんは興味が無い

 会話が続かない、笑顔が少ない、一緒にいると気まずい、楽しくない、怖い、etc.
 他人が私に抱く印象は、これに尽きると思っている。別に友人がいないわけでもないし、全く笑わないわけでもないし、楽しいことは大好きだ。それなのになぜ、このような印象を抱かれている、と思っているかというと、
私は、他人に興味を持てないから、だと思っている。
  例えば、初対面の相手に対して、コミュ力の高い人間はどう接するのかと考えた時に、出る答えはすべて、私の言動と真逆なのだ。相手に気を遣い、嫌な思いをさせまいと立ち回るのだと思う。私も初対面の相手には、極力そのように立ち回っているつもりではいる。だが、時間が経つにつれて、「あぁ、しんどっ」と、試合終了のゴングを鳴らしてしまうのだ。あんなに愛想よくできていたのに、いつの間にか素の自分に戻ってしまう。だんだんと目を見なくなってしまう。愛想笑いがなくなってしまう。長い付き合いになると、「初めの頃はあんなに仲良くしてくれたのに……」と相手に思われている、かもしれない。「愛想のいい自分」という仮面を付け続けられたら、コミュ力の高い人間になれたかもしれないのに。ん~。困った、かも。

「心どっかに置いてきたんか」とツッコまれても、返す言葉もない。
だってそうなんだもん。

 前の職場にこんな人がいた。大森さん当時30歳、独身、女、私の上司だった。彼女は自分の話をするのがとにかく好きだった。
例えば、
「これ買おうか悩んでるんだけど、どう思う?」
「最近引っ越したんだけど、友達が泊まった時用の布団がまだないの。どうすればいいと思う?」
「熊本に元カレがいるんだぁ」
「毎年海外に行ってるんだけど、今年はどこに行くか、まだ決めてないんだぁ」
それをきかされた私の心境とは、すなわち、「いや、知らんがな」である。
買いたきゃ買えよ、誰も泊めなきゃいいだろ、それがなにか???
 反応に困る話をされて、日々困惑と迷惑していた。それに付き合わされる後輩の気持ちをちょっとは考えてほしいものだった。なによりも、やっぱり私は興味を持てなかったので、苦痛でさえあった。
 私的、きかれても困るワード、ワースト1位は「どう思う?」である。それをきかれてまず思うことは、「なにかを思わないといけないのか?」だ。「この靴どう思う?」「あの人どう思う?」「あの事どう思う?」
……それをきいて、この人はどうしたいんだろう。どう言えば正解なんだろう。どうしてなにかを思わないといけないんだろう。
だってそうじゃないか。欲しいものがあるなら買えばいい。好きな人が出来たなら話しかけるなりすればいい。嫌いな人がいるなら関わらなければいい。それだけのことだろう。
 所謂女子特有の、中身のない雑談というのが、私は苦手なんだ。いや、友人とする分には全く構わない。むしろしたい、ききたい。相手が友人に限ってだと、こんな私でも興味津々で相手の話をききますよ、はい。しかし大森さんは職場の上司であって、友人ではないのですよ。彼女に興味を持てない理由はそれだ。出会い方が違って、同じ世代で、同じ趣味趣向だったなら、きっと友人になれた気がする。知らんけど。
 私的めんどくさい女選手権最有力優勝候補、大森さん。私が大森さんに興味が無かったということは、大森さんも私に興味は無かったんだろうな。「友人になれたかも」は撤回しよう。


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