前工程と後工程を検証する。

プロジェクトの作業に入り込んでしまうと、つい自分の作業ばかりを見るようになってしまうが、#プロジェクト管理 という視点では、前工程と後工程の繋がりを考えることは非常に大事。


例えば、パンフレットの制作をするとき、いろいろな人から原稿を集めて、デザイナーさんにパンフレットを制作をしてもらうときに、取りまとめの仕事が若手社員に振られることはよくある。

仕事を引き受けた時点では、もらった情報をまとめるだけで、大した手間は掛からないと思っていても、原稿が期日通りに来ない、不明点の確認依頼が来る、分かりにくい原稿の不足を自分で補う、などで忙しくなりがち。

結果、自分が制作を進める上でのボトルネックになってしまって、何でこんな状態になってしまうんだろうと悩んでしまう。そんな経験、思い当たる節がある方も多いのではないだろうか。実際、僕はそうだった。


取りまとめする人にとって、原稿を書く人は前工程、デザイナーさんは後工程に当たる。本来であれば、前工程からもらった情報を後工程に渡すだけだから、自分が情報を加工することはないはず。

そうなっていないのは、後工程に渡しやすい状態で、前工程から情報が渡ってきていない、ということ。つまり、適切な形で情報を渡してもらえるように前工程にお願いする、というのが自分の本来やるべきこと。

例えば、Wordで原稿フォーマットを作ってやる、写真の画素数を何ピクセル以上と指定しておく、提出期日までに何回かフォローアップのメールを送るなど、前工程を改善するための工夫はいくらでも出てくる。

もちろん、指定されるのを面倒臭がる人もいるだろうけど、大体の人はフォーマットやルールは守ってくれるもの。先にひと手間かけておくだけで、後から発生する工数は随分と削減できるものだ。


また、本来前工程でやるべき仕事を、自分が無理に引き取ってしまったら、結果的にクオリティが低いものに留まってしまうこともある。

例えば、技術的に詳しい人に原稿を頼んでいるのに、その人が忙しくて原稿が仕上がってこない。催促すると、「カタログを見て適当に埋めておいてよ!」などと言われ、自分で手を動かして埋めてみたことがある。

ただ、専門である人がこなすべき前工程の仕事を、素人である自分が完璧に担えるはずはない。やはり僕の作った原稿はイマイチで、専門の人にちゃんと書いてもらわなきゃダメだとなり、進行を遅らせてしまった。

良かれと思ってやっていることが、プロジェクト全体の成果を下げてしまうのだから恐ろしい。やるべき人がやるべきことをやる。そうでない人は、やるべき人がやりやすくなるように、アシストをするのが仕事の本分なのだ。


前職の上司には「やけに手間のかかる仕事は、正しい段取りでないことが多いから、一度疑いをかけてみろ」と言われた。妙に仕事に時間がかかっている自分を見て、きっとピンと来たのだろう。

取りまとめ役と言うと簡単そうに聞こえるけど、各行程がどのような役割を担うべきなのかを考えて、遠慮や躊躇に流されることなく、果たすべき役割を果たしてもらうこと。これこそがプロジェクト管理の要諦なのだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?