営業は情報戦である。

人が商品を購入する前には意思決定のプロセスがある。さすがに100円の缶コーヒーを買うときには意識されることもないが、それなりに値段の張る商品を買うときには、個人でも法人でも時間をかけて検討が行われる。

意思決定のプロセスというのは、個人であれば家族会議だったり、法人であれば予算執行のための稟議だったり、その形はいろいろだが、お金を使いたい人が好きなようにお金を使える、ということはまずない。


意思決定の中で重要な情報が「予算」である。売る側としては、先に予算が分かれば提案がとても楽になるのだが、買う側としては、足元を見られないために予算の情報は知られたくない。

また、予算を決める前の情報収集段階だと、教えてもらおうとしても、本当に決まってなくて、何も情報が得られないこともある。かと言って、適正価格で出せば買ってくれる、と全ツッパで突撃するのはあまりに考えがない。


例えば、いろいろな事例と価格を見せて、どれくらいのクオリティを求めているのかを探る。ここまでは求めてないとか、最低限これくらいはやりたいとか、具体的に当てていけば参考になる反応が取れる。

また、お客さんの感覚が正しくないことも多いので、具体的に見せながら適切な価格感を醸成することも大事。ここまでは投資しないと良い結果は得られない、ケチると却って無駄になる、という情報提供・教育は必要だ。

さらには、直接の担当者からは情報が取れなくても、周辺の関係者からヒントが得られる。決裁権者である上司、過去に案件に関わった前任者、隣の部門の知り合いなど、様々な角度から攻めていくのも有効だったりする。


相手のことを知る努力をしなければ、営業活動の確度は上がらない。闇雲に価格を下げたり、奇をてらった提案に走ったりするよりは、相手のことを少しでも知ること。営業は情報戦なのである。

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