小さな果実と崇高な理念。

コンサル時代、プロジェクトを成功に導くためには、小さな果実を早く実感させることが大事だ、とよく言われた。

また、研修のインストラクターをしていた時にも、受講した直後から使える即物的なノウハウを1つお土産に持たせろ、とも言われた。

長期的に大きなメリットをもたらすことも大事だが、目先で具体的なメリットを感じさせないと人の気持ちは掴めない、ということなのだろう。


今関わっているプロジェクトは、震災復興の文脈で外部から様々な刺激が入って始まったものが多い。

・水産業に続くもう一つの産業の柱を作ろうと始まった「ちょいのぞき気仙沼」
・高卒採用が主体の地方に大卒採用の入口を作る「マチリク気仙沼」
・地域全体としてのCRMを構築する中枢となる「気仙沼クルーカード」

どのプロジェクトもニュースバリューがあり、他地域からも着目が集まる中で始まっているが、実はどれも踊り場で足踏みして悩んでいる。

0→1のフェーズは新しいことを始めるアドレナリンで走り続けられるけど、1→10のフェーズは数多くの失敗に直面しながら成功の兆しを見つけないといけない。

また、マクロでは観光も採用も地域経済も全て冷え込みつつあるフェーズにあるから、小さか成功が見えても、右肩下がりの基調の中に埋もれがち。


ここで、崇高な理念が理解されないことを批判するのはお門違い。このまま飢えてしまうのではという危機感の前では、理念は霞のように見えてしまうもの。

むしろ、小さな果実をきちんと味わってもらえるように、今一度カウンターに立っているお客さんと目線を合わせることが大事だと思う。

・ちょいのぞきなら、各プログラムへの集客を増やす仕組みを考える。
・マチリクなら、各企業の採用目標に到達するための手段を考える。
・クルーカードなら、加盟店が賑わって儲かるような施策を考える。

やはり、お客様の役に立つことが全ての商売の基本。足元に金山がある。目先の課題から逃げてはいけない。


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