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コミケで着ぐるみ売り子をしてきた話

着ぐるみで同人誌の売り子をしたいので島寿司の同人誌を出しました。

コミケでは早々と完売してしまい申し訳ありませんでした。ただいま再版と通販の準備に追われていますが、詳しくは先日の記事をご覧いただくとして、今回はコミケで着ぐるみ売り子、という視点での体験をお伝えしようと思います。


着ぐるみで売り子をしたい私ができたこと

自分で機会を作ればいい

着ぐるみを着るのが好きな人で、着ぐるみで売り子をしたい、という夢を持っている人はけっこういます。ただ、現実問題として、「着ぐるみで売り子をしたい」と投稿したところで売り子ができるわけではありません。

もし私に仲のいいサークル主がいて売り子として声がかかることがあったら、それはもう喜んで引き受けます。しかし、待っていてもそんなことは起こりません。自分にできたことは、自分でサークルを作って自分で頒布物をつくり、店番をしてくれる人を確保したうえで、自分を売り子にすることでした。

ところで何を扱おうか

ところで、朝香果林が売り子になっているサークルとして、何を扱うといいのでしょうか? 思い出したのは、ゲームのストーリーに出てくる島寿司。島寿司は、知らない人も多いのですが、実はむかし、八丈島に行ったことがある私には馴染みのある食べ物でもありました。

これで決まりです。

こうして、島寿司をみんなに知ってほしいというコンセプトが生まれて、「島寿司同好会」というサークルで『シマズシジャーナル』という同人誌を出すことになったのでした。誌名やフォントの工夫、そして特典で「分かる人には分かる」ようにはしてありますが、『シマズシジャーナル』の内容は完全に着ぐるみや虹ヶ咲や朝香果林から離れていて、あとがきで朝香果林がきっかけになったということを一言書いているに過ぎません。

『シマズシジャーナル1』と、特典のポストカード
(ポストカードの写真はWAKU撮影)

コミケ当日の様子

サークル入場

コミケ103のサークル入場は8時からとのことで、その時刻に合わせて会場に向かいます。サークル入場証は2人分で追加発行はありませんので、あらかじめお願いした店番のうちひとりはサークル入場、もうひとりは交代要員として一般参加としました。

店番のひとりとサークル入場入り口を通過し、入場証をサークル参加者リストバンドと引き換えます。リストバンドは腕に巻きつける必要がありますが、着ぐるみの場合はあとで肌タイツを着る関係できつく巻きつけるわけにはいかず、落とさないけど外そうと思えば外せるように巻きつけます。

虹ヶ咲学園……じゃなかった東京ビッグサイトはかなり広いので、サークルスペースまではだいぶ歩きましたが、8時過ぎには目的の東地区5 “フ” ブロック 52bに着きました。

設営前の東地区5 “フ” ブロック 52bサークルスペース
手前の椅子1脚分が割り当てられた範囲

着替えを急ぐ

設営は店番に任せ、私は更衣室に向かいます。更衣室までの動線はよく考えられていて、コスプレイヤー以外の人は更衣室の入り口に近づきづらくなっていることは助かりました。

なお、コミケの『コスプレ&コスプレ撮影 サポートページ』では「視界を制限する衣装(例:ヘルメット、覆面、お面、眼帯や包帯)」について「移動中は外して下さい」と明確に指示が出ていますので、更衣室には着ぐるみマスクは持っていかず、着ぐるみの頭を外した状態で移動しました。安全確保のための指示ですから変えるべきとはまったく思いませんが、正直なところはかなり恥ずかしく感じます。そこで私は、見た目が相当変なことは承知のうえで、サングラスと不織布製マスクで人相が分からないように、また、コートを着て服装が分からないようにしながら移動しました。

着替えは幸いにしてスムーズに進みました、8時半くらいに更衣室に入り9時くらいには自分のサークルスペースに戻れたというくらいの感覚です。

いよいよ着ぐるみ売り子デビュー

サークルスペースに戻ったら、設営は終わっていました。私はサングラスをとってコートを脱ぎ、レコードバッグから着ぐるみマスクを取り出して被ります。

隣のサークルからは「本格的な着ぐるみですね……」と驚かれました。評論・情報系ジャンルの、さらに食品・飲食を扱う「島」では着ぐるみ売り子は相当珍しかったかもしれません。

サークルスペース全体
見本誌とPOP
りんかい線コラボキャンペーンの朝香果林アクリルスタンドを手前に置いています。
(写真=うっつん)
内容紹介POP
貼り付けるときにシワを作ってしまったのが残念。
手前に虹ヶ咲学園制服の朝香果林アクリルスタンドと、
東京ラーメン国技館 舞コラボのチャイナドレス朝香果林アクリルスタンド
(写真=うっつん)

10時30分までは朝香果林の着ぐるみの姿のままずっと座っていました。10時30分になると、一般参加者が入場してきます。ここで椅子を店番に譲って、店番の左後ろに立ちながら「よかったら見ていってください」ということを身振り手振りで伝えます。着ぐるみなので声は出ません。

頒布誌の説明やお会計は店番に任せましたが、Squareのクレジットカードリーダーを差し出したり、頒布誌と特典ポストカードを手渡したりは、着ぐるみ売り子である私の担当です。

着ぐるみ売り子朝香果林
(写真=うっつん)

サークルスペースは横幅が狭いので、着ぐるみを着ている間はほとんど身動きがとれません。そして椅子は1脚しかありません。着ぐるみは立ちっぱなし。それでも、いまは自分ではなくて朝香果林だという高揚感もあって、あまり疲れは感じません。

痛恨の完売、そして着ぐるみ売り子のファンサと交流

今回は夏の私服と冬の私服を用意したので、頒布開始から45分ほど経過したところで冬服に着替えてきたら、店番から完売間近の報。こうなってしまった理由は別に書いた通りです。結局午前中に痛恨の完売。

しかし、撤収するには早すぎます。そこで、完売後もしばらくはサークルスペースにいることにしました。その後も立ち寄ってくださった方は多く、「完売は残念だったけど着ぐるみを見ることができてよかった」という方もいらっしゃったのでファンサしてみたり、隣のサークルの方から「可愛い着ぐるみさんが隣のスペースで売り子をしていてよかったです」と言われてお返しに愛嬌をふりまいてみたり。

着ぐるみ売り子をやってみて

オフ会やイベントに比べると、即売会はより多くの人が集まる場で、着ぐるみを見慣れていない人との接触も多くなります。

もちろん反応はさまざまで、まったく眼中にない方や「何かいる」という顔をして通りすぎる方もたくさんいますが、売り子の着ぐるみに魅力を感じる方もまたたくさんいらっしゃったようです。そして、島寿司同好会の周囲には着ぐるみを売り子にしているサークルが他に見当たらなかったこともあって、着ぐるみを売り子にするというのは効果的であるようにも見えました。

また、一般参加者はもちろん、サークル参加の方やスタッフの方との話題づくりにもなるということも、単純に同人誌を作って売る以上の、即売会ならではのおもしろさでしょう。

というわけで、自分で同人誌を作って着ぐるみで売り子してみて思ったのは、「大変だったけどやってみてよかった」ということでした。