「帰省の車窓から」
先週末、年末にしなかった帰省をすべく、新宿から甲府の間を走る特急電車に乗っていた。
窓の外に目をやると、手前には住宅や田、雨で勢いを増した川があった。奥には切り立った崖があり、毅然とした岩肌の断面を見た。
雨に濡れて所々が暗くなっていた。
一寸の途切れもなく山が連なっていた。
山々には形のない靄がかかり、それは自然の吐いた息がそこに残っているようだった。
たっぷりと湿り気を帯びた靄の先は色や形がぼやけていて、おそらく実際の距離よりも遠くに感じた。
尾根に沿って、山道の小径に沿