岡崎体育 さいたまスーパーアリーナ で感じたこと。

言葉に出していれば夢は叶う。
それを体現した一人のミュージシャンの姿を焼き付けてきた。
岡崎体育 ワンマンライブ さいたまスーパーアリーナ。
最高だった。

僕は自著魔法をかける編集に書いているように、本や雑誌の編集に留まらない、もっと広義な意味での編集者として日々活動している。つまり僕が編集するものは、イベントだったり、空間だったり、商品だったりと、常に変化する。それゆえ最終的なイメージを、仲間やクライアントなどと共有するのがとても難しいと感じることが多々ある。

しかし、僕はだからこそ面白いのだと思っている。

一方、共有しやすいもの、もしくは共有できたと思いやすいものの代表が「数値」だ。何人動員する。動画を何万回再生させる。何万PV達成する。これらの数値目標は、マーケティングの世界でよく言われる「ドリルを買う人が欲しいのは“穴”である」という言葉が示唆するように、本質的な目標が、手前の小さな目標に飲み込まれてしまう危険がある。

だけど彼、岡崎体育は、そういった数値目標の達成を確実に積み上げていきつつも、その一方で、本質を見誤らないようにずっとそれを言葉にし続けてきた。どちらかではなく、その両方を真摯にやってきたんだと思う。組織の人たちを納得させる手前の数値目標を、シンプルに自分の夢を耳にする人を増やすことと同義にしたのが、彼の突出した編集力で、それはもう心底尊敬しかない。

自著で僕は、編集力を「メディアを活用してイメージをカタチにするチカラ」と定義した。つまりここで重要なのは「メディア」ではなく「イメージ」の存在だ。イメージはすべてを凌駕する。

今回のライブがそうだったように、人間が生み出したもののすべては、どこかの誰かが想像したものだ。それはすなわち「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」byジュール・ヴェルヌ(「月世界旅行」「海底二万マイル」などを書いたフランスの作家)とも言える。

だからこそ、その想像を言葉にすること。口に出すことがとても大切。岡崎体育というアーティストは、それをよくわかっている。悶々とした日々のなかで誰もが持つ自分の憧れや夢や妄想を、誰よりも自分自身がリスペクトしてきた。その結果が先日のさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブだった。

僕が大好きな「エクレア」という彼の曲のなかにこんな歌詞がある。

今でも誰かに憧れてる 敷布団の上真似してる
想像上のステージと 想像上のオーディエンス
やれるとこまでやろう

彼が想像したステージと彼が想像したオーディエンスが確かにあの日、あったんだと思う。オーディエンスの一人となった僕は、あの日、あの空間のなかで、彼がずっと抱き続けた想像のカタチをはじめて目にした。それはそれは素晴らしい景色だった。

「多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」とスティーブジョブズは言った。確かに僕たちはああいうステージを、ああいうパフォーマンスを求めていた。そのことにいままで気づかなかったけれど。

想像はカタチにしなきゃわからないし、カタチにしなきゃはじまらない。ジョブズにとってのMacのように、あのライブがあったとしたら、いよいよ求めていたものを知った僕らは、岡崎体育というアーティストに勝手なことを色々と求め出すだろう。だけど、どうかこれからもそれを超える妄想をし続けてほしい。カタチになったものから見えるようなことではない、僕たちの知らない、だけど求めていたものを。

言葉に出していれば夢は叶う。
それは、言霊を信じるというスピリチュアルなことじゃなく
もっとフィジカルなことなのかもしれない。

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