お客様は神様だからこそ。

つ、つ、ついに店に入れたぞーーー!
いったい何人に薦められたかわからない、札幌市の夜パフェの名店。
前回(3月)に札幌に来た際も、アイス売り切れ撃沈だったし、
とにかく過去3度チャレンジしたけど全部ダメ。

そして今回はもう何時間でも待つ! と心に決め、
誘惑に溢れるせっかくの札幌の夜をここに捧げた。

その店の名は『PEOPLE PEAPE(ぴーぷる・ぴーぷ)』

なんと19時オープンのこのお店、20時前に着いた時点では、一巡目のみなさんが店内に入り、そこに入りきらなかった人たちが並んでいる状態。マネージャーのはっちと「なんとか今日のうちに食べられたらいいね」なんて、冗談めかして言ってたけれど、いやいや甘かった!(パフェだけに)

ようやく店内に入れたのは0時過ぎ。
そして目の前にパフェがやってきたのは、夜中の1時半!
食べ終えて店を出たら2時まわってた……。

つまりは、この関西人丸出しなイラチの僕が、なんと6時間も待った!
よっ! のんびり!
自分で自分を褒めてあげたい。

ていうか、そもそもなんでそんなに待つの? と不思議だと思うので、
ここで関西スパイスカレー好きにしかわからないピンポイントな例えを言うと、北浜の『カシミール』の席数がさらに3倍になったやつ。なのだ。
関西スパイスカレー文化の源流『カシミール』の後藤さんのように、『ぴーぷる・ぴーぷ』もたった一人の店主が、接客をして、注文をとって、黙々とパフェをつくり、お会計をし、洗い物をする。
一度店に訪れれば「そりゃあ時間かかるわ」と納得なのだ。

だから店に入るなり
「初めて? うち、かなり待つよ。大丈夫?」と、店主にたたみかけられる。ここで「大丈夫です」と即答せずに「どれくらい待ちますか?」なんて聞こうもんならゲームオーバー。
待てない人は帰ることを勧められる。

昔、『カシミール』の後藤さんが初めてらしき若いお客さんに「辛さ5倍ってどれくらいの辛さですか?」と聞かれて、「人それぞれやから、それは僕にはわかりません」とそっけなく答えているのをみて、ほんとその通りだと思ったけれど、『ぴーぷる・ぴーぷ』で、待ち時間を聞くことも、それと同じくらい不毛だ。この後の予定があるなら、来るべきお店じゃないのは明らかだ。

たった一人でこなせるとは思えないお客さんの数を、
長年培ってきたからこそ見えた最適解のごとしオペレーションでこなしていく姿は、そっけないどころか、みていて気持ちがよい。

確かに人によっては、店主都合の勝手なオペレーションに見えるかもしれない。しかし決してそんなことはないのだ。
「お客さんにとって何が幸福か」を究極に考えた結果でしかない。

食べログのレビューなんかを見ていると
ここはお客様が神様ではなく、店主が王様だ。
なんて言葉をみたりするけれど、それはまったくもって違う。

「お客様は神様だ」というのは、
なんでもかんでも客の言う通りにすることではない。
身一つで、出来るだけお客さんに戸惑いや不安を与えることなく、最高の状態のパフェを提供することを考えた結果、つまりは、真に「お客様は神様だ」と思っているからこそ、お客様をこれでもかというローカルルールで縛るのだ。

言い換えるなら、それは愛だ。

そして何より、大事なのは『カシミール』のカレーがそうなように、
ここのパフェも、めちゃめちゃ美味い。且つ、ほかでは決して食べられない味だ。

そこもまた、お客さんへの愛が深いからこそ、その素材にとことんこだわった証拠だ。トランス脂肪酸が入っているようなマーガリンなどを使用することはもってのほか、砂糖を限りなく減らし、究極に素材の味を活かしたパフェで、その見た目の無骨さとは裏腹に、味は超繊細なパフェを食べさせてくれる。

よっぽど味音痴な人でなければ、一口食べるだけで、その稀有さが身体に染み渡るはずだ。「これなら、いくら食べても罪悪感がない!」僕はほんとそう思った。そんなパフェ、食べたことあるだろうか?

店内のいたるところに『ぴーぷるぴーぷ』独自の作法が書かれた張り紙があり、それらが静かな圧となって、お客さんに緊張感を与える。
しかしなんども言うが、それは、紛うことなき愛だ。

さいあく6時間待つ覚悟でチャレンジしてみてほしい。

次回もまた僕はkindle片手に、あの豊かな待ち時間を楽しむつもりだ。

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