弁護士ドットコム代表 元榮太一郎が語る 創業秘話とやり抜く力 “思えば叶う。継続は力なり。”

(この記事は2020年に作成したものを再掲載しております。)

業界のトップを走る「プロフェッショナル」が薦める本とは?読書をもっと面白くする実名ソーシャルリーディングアプリReadHubが、独自インタビューをお届けするReadHubTIMES。

弁護士として初の東証マザーズ上場を、弁護士ドットコムにて経験した元榮太一郎氏。現職参議院議員としても活躍する元榮氏が、やり抜く力の重要性を創業秘話とともに語る。

※インタビューはオンラインにて実施させていただきました。

<経歴>
平成11年に司法試験合格、平成13年弁護士登録を経てアンダーソン・毛利法律事務所入所。平成17年1月独立開業し、法律事務所オーセンス設立。平成17年7月弁護士ドットコム株式会社設立。平成26年12月弁護士ドットコムが弁護士として初の東証マザーズ市場上場。24回参議院議員選挙で初当選(現職参議院議員)。

偏らないようにしながら効率的に

ーー弁護士ドットコム代表として、参議院議員として、ご多忙な日々を送っておられますが、普段の情報のインプットはどのようにされていますか?

元榮:効率的に情報収集ができるようにしつつも、あえて様々な情報チャネルをチェックするようにしています。

普段から新聞を3紙、ネットニュース、統計データ、テレビ、SNSなどをチェックしています。最新の情報を知るためだけなら、これらをすべて見る必要はないと思うのですが、偏った情報を得てしまうのを防ぐのが目的ですね。

ただ、効率はやはり重要です。例えば読書についてもそうなのですが、自分に必要な内容を選び取って読むことを意識しています。よくある手法で、目次を先に見て必要なところを読むことが多いです。

また、本を読まずとも、著者のインタビューやエッセンスの入った書評で、筆者の主張がわかる場合もありますよね。中田敦彦さんのYoutubeチャンネルなどは、よくまとめられていて勉強になるので拝見させてもらっています。

リーダーは1人で物語が始まる

ーーとても洗練された情報収集ですね。本については、どのように選ばれているのでしょうか。

元榮:話題になっている本や人から薦められた本は読んでみることが多いです。

これは本だけではなく、映画やネット記事も同様に、SNS上で話題になっているものをチェックしています。話題になるかどうかで、読む価値や見る価値が一程度スクリーニングされていると思っていて、良いコンテンツに出会うコツとして実践しています。

ーー最近で、どなたかにオススメされた本で良かった本はありますか?

元榮:現群馬県知事の山本一太さんに紹介していただいた、『リーダーシップの旅』。出版自体は少し前のようですが、最近読んで良かったと思えた本でした。

リーダーシップをはじめから持っている人はいない。リーダーは1人で物語が始まる。はじめは1人でも、何かを強く思い続けていれば段々とそれに続く人が現れ、増えていく。

こういった部分にとても共感しました。というのも、弁護士ドットコムのスタートがまさにそうだったからです。

元榮:2005年に弁護士事務所を退所して、弁護士ドットコムのアイデアを色々な人たちに話したところ、なかなか共感してもらえず「あり得ないよ」とたしなめられたり、心配されたりしました。

そもそも、弁護士ドットコムは、かつて「一見さんお断り」が当たり前だった弁護士のサービスを、ツテがない人にも機会を与えたいと考えた当時としては常識破りのアイデアでした。

インターネット上で使えるサービスだったので、まずは弁護士に無料で登録してもらうことから始めたんです。しかし、当時の常識からは理解されず、進んで登録をしてくれる人はほとんどいませんでした。

弁護士時代の先輩や友人に、「義理でいいから」と言って1件1件足を運び、2年ぐらいかけてやっと200人くらいの登録にこぎつけられました。まさに孤独なスタートだったと思います。

そんな中で、最初に目を向けてくれたのはマスコミでした。「読売新聞」と「朝日新聞」に、弁護士ドットコムの取り組みを取り上げていただき、その後にフジテレビの「めざましテレビ」の新聞読みのコーナーにも取り上げていただきました。

この辺りから、段々と弁護士の方々が応援してくださるようになり、現在では全国の弁護士の約半数にあたる約19000人が登録してくださっています。

創業当初は、8期連続の赤字をたたいてしまうほどでしたが、おかげさまで現在では毎年サービスも業績も成長できています。『リーダーシップの旅』は、苦しかったときを思い出しながら読んでいました。

思えば叶う。継続は力なり。

ーー苦しい状況が続いた中、結果が出始めるまで続けられた理由は何ですか?

元榮:「思えば叶う」「継続は力なり」これらは強く信じています。弁護士ドットコムで手掛けている電子契約サービス「クラウドサイン」も、最近のリモートワークの時流に乗ってより一層注目いただいています。

「弁護士ドットコム」も、「クラウドサイン」も、前々から「あったらいいな」と考えていたものを形にしてきました。でも、先ほど話したように、最初からすんなり社会に受け入れられないというのが世の常です。

だからこそ、本当に良いものを作りあげようと努力を続けることが大事なのだと思います。後々になって、自分が作りあげてきたものが注目されるようになってくると、誰もが天動説を信じる中、1人地動説を唱え続けた結果、後になって認められたガリレオになったような気持ちですね。

ーーガリレオになったような気持ちは中々味わえるものではありませんよね。その辺りで共感した本はありますか?

元榮:『GRIT』はベストセラーだったと思いますが、とても良かったです。やり抜く力は何においても大事だと思っていて、それがうまく言語化されていました。

ビジネス書などでは、方法論ばかりが取り上げられますよね。でも、私はむしろ心構えやメンタルの面が大事だと考えています。どうしてもやりたいことを探して、何が何でもやり遂げる。言い訳づくりに頭を使うのではなく、どうすれば実現できるかを考え続けることが何よりも重要だということです。

また、中村天風の『成功の実現』もかなり昔の本ですが、同じような指摘をしています。当時、たまたまビジネス雑誌でこの著者のことを知って、偶然手にとった時の学びが今にも通じています。

マインドセットができていれば、方法論は後からついてきます。人間は奇抜なアイデアを思いついた時に、「目標が大きすぎる」「現実的ではない」と考えてしまいます。でも、「面白いかも?」って思ったものは実現可能なはずです。最後までやり抜くことが大事だと考えています。

世界に羽ばたくグローバルメガベンチャーに

ーー最後に、これからの時代の展望とご自身のこれからについて聞かせてください。

元榮:自著の『「複業」で成功する』でも触れましたが、働き方をはじめとして今までの時代から大きく変化することがたくさんあります。そして、すべての人が1人のビジネスパーソンとして価値を高めていく時代になっていきます。そこで重要なのが、最後までやり抜く力であり、学び続ける姿勢です。

弁護士ドットコムは多くの方に利用していただけるようになりましたが、まだまだ始まったばかりだと考えています。

世界に羽ばたくグローバルメガベンチャーに。日本が世界に通用する企業があるんだと知ってもらえるようになる。戦後の焼け野原からトヨタや松下電器が生まれたように、人口減少という厳しい時代を迎えようとしている日本を強くしたいという使命感を感じています。

新しい時代の流れにキャッチアップしていったり、逆に先人たちや歴史に学んだりしながら、孫正義さんが言うように「時代を追わず、読んで仕掛けて待つ。」を実践していきたいと思います。


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