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熟達者の人生を紐解く vol.1 日本茶プロデューサー 丸若裕俊氏

こんにちは、リープラ 広報の日比です。

実はリープラでは、リープラ・マスタリーラボというプロジェクト名で、社会で活躍されている熟達者の方の人生を紐解くインタビューを昨年から始めています。

リープラにおいて、次世代の産業創造を目指す人の学習様式を「社会と共創する熟達」と表現しているのは、これまでも色々な角度でお伝えしてきました。ただ、リープラの投資先にゼロイチフェーズの起業家が多いことや、概念の説明だけで具体的な人のあり方が想像しにくいことなど、「社会と共創する熟達」を手触り感ある形でお伝えするのに難しさを感じてきました。

このリープラ・マスタリーラボというプロジェクトは、リープラ内の実践から「社会と共創する熟達」についてお伝えするのではなく、リープラ外で自然と社会と共創しながら熟達をされている方の事例を通して、社会と共創する熟達のエッセンスをお伝えすることを意図しています。

対談者は、諸藤をはじめとした社内のメンバーが、この方は社会と共創しながら熟達しているように感じる!という方を、独断と偏見でピックアップしています。また、「熟達者が熟達に至る要因は、その方らしさが形成された過程にあるのではないか」という仮説から、対談者の方の幼少期から今に至るまでをつぶさにお聞きしています。

対談者の方には、多忙な中で1.5時間 x 2回というお時間をとっていただき、プライベートの踏み込んだ内容を語っていいただいています。学生時代の葛藤や、今の葛藤を赤裸々に語っていただいた方もいました。そのため、内容は唯一無二の形になっていると思います。

ただ、動画が長尺なため、どういう観点で聞いたらいいかわからない、手が出しにくいという言葉をいただいていまして。導入が長くなってしまったのですが、これまでの対談を「社会と共創する熟達」の観点で解釈した記事を書いていきたいと思います。
※あくまでも、筆者の解釈なので、ぜひみなさん具体的な内容が気になったら動画をみていただき議論したいです!

第1弾は、日本茶の魅力を世界へ向けて発信する茶葉ブランド「EN TEA」を主宰する丸若裕俊さんについてです!

対談者:丸若裕俊(まるわか ひろとし)さん
1979年東京都出身。アパレル勤務などを経て、2010年に株式会社丸若屋を設立。プロダクトプロデューサー、プロジェクトプランナーとして、伝統工芸から最先端の工業技術まで今ある姿に時代の空気を取り入れて再構築、視点を変えた新たな提案を得意とする。14年、パリのサンジェルマンにギャラリーショップ〈NAKANIWA〉をオープン。17年春には渋谷に茶葉店〈幻幻庵〉を立ち上げ、世界に向けた“新しい日本茶カルチャー”の発信に取り組んでいる。

対談前に感じていたこと ※諸藤の見解を含みます。

丸若さんは、伝統工芸の器に興味を持ち、それを深めていく中で、器から茶葉に興味が広がり、さらにお茶を飲む空間そのものを探求するようになっていった方で、「お茶」というテーマに関わり始めた比較的早いタイミングでG20のセレモニーのプロデュースをするなど、社会との接点を広げていました。こうした話を聞く中で、熟達のスピードが人よりも早くて深い印象を受け、しかも、その中で社会との共創を広げているように見えていました。

「社会と共創する熟達」における熟達の重要なポイントとして、探索と作り込み、という考え方があります。それは目の前のことを精緻に作り込んでいきながら、折に触れてそもそもを問い直し隣接する領域を取り込んでいくことと筆者は捉えています。これは、丸若さんの例でいうと、伝統工芸の器を海外の人に届けるという手法自体を作り込みながら、その器で飲む「お茶」をテーマとし、お茶とは何かを折に触れて問い直すことで、茶葉・茶の文化・空間へと探求の幅を広げていること。この所作が「探索と作り込み」の所作なのではないかと考えています。

これをナチュラルにやっている人なのではないか、ナチュラルにやっているのだとすると、それは丸若さんのどのようならしさからくるものなのか。さらに、それを比較的早いスピードでやっているのには、好奇心が鍵になっていそうなのだけど、丸若さんの好奇心の源泉はどこにあるのか。

というのが、対談前に丸若さんに対して持っていた興味でした。

インタビュー内容

※詳細は動画をみていただきたいので、簡単に要点だけをまとめて紹介します。

  • 幼少期の家庭環境から、相反するように感じる価値観の狭間で、どちらかが良いかと見るのではなく、どちらも良いというバランスを取るという「らしさ」が自然と身についていきました。

  • その「らしさ」は、小学生時代を過ごした横浜の元町という環境が多国籍だったこともあり、いろんな人の意見が同じものに対してもあると感じ、1つの絶対的な答えっていうのはなく、それを理解し合うことが、「妥協ではなく調和」だという信念になっていきます。

  • この「らしさ」とは別で、小学生の頃から女郎蜘蛛を飼うなど、無価値なものに価値を見出す、自分の見方で物事/人に対しての良さを見出すという特徴も現れています。

  • 決められた正解があるような教育にモヤモヤを感じていた高校・大学時代は、学校よりも西洋の音楽やファッションに傾倒していきます。

  • その後、社会との接点を初めて持った就職先では、店舗での人間関係は生意気だったのでうまくいかなかった。3ヶ月間、草むしりとTシャツたたみしかさせてもらえない時期があったという衝撃エピソードもありました。

  • そんな環境の中でも諦めずに、売る人や買うひとにとって、なにが琴線に触れるかを解像度高く見ることを試行錯誤し、成果を出していきます。

  • 一方で、どこかで自分は物語の主人公であるという思いが燻っており、会社をやめて改めて自分を見つめ直す旅にでます。

  • その旅の中で出会ったのが石川県の九谷焼という伝統工芸でした。昔のものをみたときに新しいモノに対してと同じような衝撃を受けた丸若さんは、より良いと思う見せ方を追求していった結果、徐々に海外でも受け入れてもらえるようになり、パリに日本の伝統工芸品を飾るギャラリーを持つに至ります。

  • 当時の顧客には、パリを代表するブランドや映画配給会社や、貴族階級の人たちもいたそうです。

  • 海外で器を紹介する時に、すでに認知がある緑茶 (Green tea) を飲む道具だと伝え、お土産にお茶を渡していました。

  • その後、日本人が当たり前に親しんでいる「お茶」に可能性があるのかもと考え、多くの人に飲んでもらい価値を探る実験をしていきます。

  • その中で得たチャンスがG20のファーストレディーに対するティーセレモニーでした。それがハレ (非日常) の舞台の最上級。そして、興味は徐々にケ (日常) の中でもお茶に広がっていきます。

  • この後、探求がぐっと深くなった瞬間や、どのように試行錯誤していったのかは、ぜひ動画をご覧ください!!

※あくまでも、社会と共創する熟達というフィルターを通して丸若さんの対談の要点を抽出しています。

社会と共創する熟達への学び

  • 丸若さんが、外側にある価値軸ではなく、自分なりの価値軸を作ることに自然と慣れていて、それが売り方の自分なりの試行錯誤につながっていたのではないか。外側の事例を探しにいくのではなく、自分の内側に問いかけて探究しているように感じました。

  • 人付き合いが苦手だったり、学校教育に思うように馴染めなかったりというエネルギーが長年溜まってきていて。人間は誰しも人との関わりを求めるものだと考えると、伝統工芸やお茶の探求を通じて関わる人や社会が広がっていくことそのものにも喜びがあり、らしさに紐づく好奇心と相まって、エネルギーが熟達をする未来に向いていったのではないか

対談を通して私はこのように感じました。

対談内容は、ぜひリンクからYouTube もしくは Podcastでお聞きください!

聴きながら、自分の幼少期の環境は自分にどんな影響を与えているのか
その当時の自分は何に楽しさを感じ、何に寂しさがあり、何に苛立っていたのか
それは、時が経つ中で、どのように変わっていったのか。その中でも変わらずワクワクしたものにはどんな傾向があるのか
自分はどんなところにエネルギーを溜めてきたのか
など、諸藤から丸若さんに向けられている質問をみなさん自身にも当ててみて考えていただけると嬉しいです。

違う角度から社会と共創する熟達について理解したい方はこちらのマガジンがおすすめです。

自分自身も社会と共創する熟達を株式会社アプローチで実践することに興味があり、一度話してみたいという方はこちらのフォームからご連絡ください

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