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【S03:MUSIC】時と場所にあわせて表情を変える、極彩色のハーモニー

ギター&ボーカルの如月簾(きさらぎ・れん)とBOKRA(ボクラ)による音楽デュオ・BOKRA and REN。ライブごとに異なる表情を見せる、彼らの楽曲の魅力とは。

楽曲制作は別々に

BOKRAと如月はともに作詞作曲ができるため、楽曲制作は分業していない。それぞれが作ったオリジナル曲をスタジオ練習に持ち寄り、互いにダメ出しをしながら仕上げていく。練習の頻度は月2~4回ほどだ。

ごくまれに、二人で共作をすることもある。19年5月に発売するフルアルバムの表題曲『未熟者』は、そのうちの一つだ。

「作詞したあと、曲を作ってみたんだけど、納得いくものができなくて。REN(如月)に任せようと思いました」とBOKRAは笑う。スタジオで歌詞を渡された如月は、「これはロックしかないな」とピンと来たという。その場でギターをかき鳴らし、Aメロからサビまでスラスラと完成させた。非常にメッセージ性の強い楽曲だ。

全世代に訴えかける声と多彩な表現

如月の歌声は力強く、特に高音は磨き抜かれた金属のように美しい。激しい曲は熱く、物悲しい曲は切なく、感情豊かに歌い分ける力を持っている。J-POPの王道にふさわしい声質と見事な滑舌を兼ね備え、老若男女の誰もが聞きやすく、「カッコいい」と感じるであろうボーカルだ。

少し粘着質なBOKRAの声は、ごく自然に、柔らかく耳に馴染む。コーラス部分だけではなく、ソロとしても、如月の声と相性がいい。ハモリの多彩さは、天性の才能と努力で手に入れたものだ。

彼らの公式ブログやTwitter、YouTubeのチャンネルには多くの動画が投稿されている。CHAGE and ASKAやゆずなどの名曲をカバーした演奏を聞いても、二人の歌唱力、表現力の高さは明白だ。

演奏を行うごとに変わるアレンジ

BOKRA and RENについて特筆すべきは、アレンジの幅の広さだ。

たとえば彼らのチャンネルで公開されているオリジナル楽曲の一つ、王道ポップ・ナンバーの『翼』の動画を見てみよう。18年4月に公開された路上ライブでの演奏と、5月に投稿された町田Beat Box Cafeでの演奏を比べると、まるで趣が違う。

歌い出し一つとっても、軽やかなギターのイントロに続けて二人で歌い始める路上ライブに対し、町田のライブでは囁くような如月のギター弾き語りから始まる。前者はギター一本、後者にはカホンのサポートが入っているという楽器編成の変化以上に、聴いた印象が大きく異なる。

「アレンジへのこだわりは、CHAGE and ASKAへのリスペクトでもありますね」。

演奏をする場所、聞いてくれる人、楽器の編成。全く同じライブは一つとしてないから、毎回アレンジを変える。口で言うのは簡単だが、誰もができることではない。それぞれの高い技術、表現力があってこそだ。

「今、アレンジャーさんと一緒にバンドアレンジで制作しているフルアルバムも、面白い仕上がりですよ。色んな人に聞いてもらいたいです」と自信満々に語る如月。際限なく彩りを増していく彼らの音楽を追いかけたい。

text:Momiji photos:Tamotsu Okawa(TAMENICOMPANY) casting&PR:Smitch

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