RICEで止まっていませんか?

運動時などの急性外傷で行う応急手当にRICEと呼ばれるものがありました。

2004年頃、小生が理学療法士の学生1年生の頃に習った外傷時の対応方法です。


R : Rest ・・・ 休息

I : Icing ・・・ 冷却

C : Compression ・・・ 圧迫

E : Elevation ・・・ 挙上


を行うことが推奨されていました。そのため就職してからは、炎症には安静とアイシングのような固定観念の下で臨床を継続していたところ、2017年にイギリスのスポーツジャーナルにてPOLICEという概念が登場したことを知りショックを受けました。

自分自身の不勉強を恥じるとともにそのPOLICEに至るまでにPRICEなる概念もあったのかと、しっかり勉強しなくてはと心を入れ替えたのを覚えています。(本当に恥ずかしい話)


Protection 保護

Optimal Loading 適度な運動

Compression 圧迫

Elevation 挙上


なんと安静がなくなりました!(安静は良くないらしいです)

痛い = 安静

という今までの概念を崩すような衝撃を受けました。このPOLICEの概念では「受傷した箇所は安静にせず、患部にどんどん負荷をかけていこう」といったもののようです。


なんて思って臨床やってたらなんと、、なんと!!

やはり、2019年にイギリスのスポーツジャーナルです。やってくれました。

今は、、PEACE & LOVEという概念が提唱されているとのこと。

(https://blogs.bmj.com/bjsm/2019/04/26/soft-tissue-injuries-simply-need-peace-love/)


Protection 保護

Elevation 挙上

Avoid anti-inflammatory modalities 抗炎症剤を避ける

Compression 圧迫

Education 教育

&

Loading 負荷

Optimism 楽観視

Vascularisation 脈管化

Ecercise 運動


となっています。この順番がとても大切といわれているため、ラブ&ピースではなくPEACE & LOVEで覚えてください。

保護は、PRICEの時点で出てきてからずっと続いている重要な考え方です。外傷後すぐに、外傷が広がらないように保護することが望ましいと言うことでしょう。

挙上も同じくずっと続いている考え方です。重要で患部に血液がうっ血しないようにすることが重要ということです。

抗炎症剤を避けることは、個人的にものすごい衝撃的事実であります。確かにオステオパシーやカイロプラクティックなどでは薬の使用を嫌う考え方はありましたが、、炎症が出て痛い痛いとなっている状況にもかかわらず、薬の不使用が科学的に推奨されるようになったということが衝撃でした。

さらにアイシングも除外されているということは、患部の治癒には「人体が出す炎症反応をそのまま受け入れる」ことが重要であるという考えを持つことが必要だと考えられます。ただちょっと、、個人的にはケースバイケースで使ってもいいじゃないかと思うところではありますが、しっかりとドクターと相談しましょう。

圧迫は、これも挙上と同様に患部に血流が増えないようにするものとなります。

教育という新たに追加された概念ですが、これは患者教育ということです。けがに対する不安や苦痛、今後の経過などを説明し理解してもらうことで安心感を与えるとともに、受動的な治療ではなく、患者本人の能動的な治療参加を促す目的があります。とても大切な考え方だと思います。

負荷は言わずもがな、POLICEの時に追加されたもので、どんどん患部を動かしましょうという考え方です。もちろん痛みに応じた対応が望まれます。

楽観視。これもすごく重要だと思います。小生はずっと楽観的思考が傷や怪我、病気の治癒を早めるんじゃないかと思っておりました。(今更)

この楽観視の画期的なところは、みんななんとなくきっとそうなんじゃないかな、などと思っていただろうことを、科学的な事象として論文に発表した点であると思います。やっぱりそうなんです。気楽に構えたほうがいいんです。

脈管化とは、全体の血流を促して組織の修復を早めようと言う考え方です。患部に血流量を増やすことではなく、全体の血流循環を促すことが重要ということですね。痛みの少ない運動を少したってから行いましょう。くらいに捉えてよいのではないでしょうか。

運動。エクササイズ。リハビリを頑張りましょう。これを最後に持ってきたということは、ここからが理学療法士として重要になってくるということです。

理学療法士の皆さんは、いつまでもRICEやPOLICEで止まっているのではなく、これからは「PEACE & LOVE」の概念をもって急性外傷の患者さんを対応してみてはいかがでしょうか。

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