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ロールズの『正義論』に学ぶ

お疲れ様です、キャリアコンサルタントのタケシマです

『正義論』で知られるアメリカの哲学者のロールズ、リベラリズムを基礎付ける理論を提唱しました。彼の『正義論』の中から「無知のヴェール」という考え方についてお話ししたいと思います。

その前に、ちょっと寄り道してキャリアコンサルタントの相談過程の話をします

キャリアコンサルタントの相談においては自分は相手のことを何も知らないんだ、、という構え方が必要になります。例えば相談者が54歳男性、30年間同じ会社に勤務していたとして、「きっとその会社が好きなんだろうな」と想定してしまうことはよろしくない。もしかしたら嫌で嫌で仕方なかったけども家族のために働いてきたのかもしれないわけです。
相談者の性別、年齢、職歴などプロフィールから相手に対して思い込みや先入観を持って相談に臨んでしまっては相手のことを正確に理解することができなくなってしまいます。

とはいうものの、人間ですから思い込みや先入観をゼロにはできないんですね。

そこでロールズの「無知のヴェール」という考え方が参考になると思いました。ロールズは社会的正義というものをどのように設計したらいいか考えました。
もし人々が自分に有利な制度をそれぞれ勝手に考えたら社会は成り立たない。例えば税制を考えるときに、お金持ちだったら自分に有利な税率を考えますよね。あるいはお金持ちなので失業補償はいらないと考えるかもしれません。
ただそれでは社会全体の正義を考えることにはならないのです。そうならないように人々は自分な何者か知らない、相手が何者かも知らない。そんな暗闇の中で手探り=「無知のヴェール」に基づいて社会的正義を考えてみましょうという思考実験です。その場合人々は最悪の事態を考えて安全サイドに制度をふるでしょう。
先ほどの例では、自分は貧乏でしかも失業の恐怖に怯えているかもしれない、、、、と最悪のケースを想定して考えるのです。
このような最悪の事態を想定して考えることをマキシミン原理と言いますが、人間の習性からそのような考えがちであることはなんとなく理解できますね。
最悪の事態というとネガな印象があるかもしれないですが、今の自分のポジションではなく最も弱い他者の気持ちになって考えるということです。自分本位ではなく他者を思いやることにつながるのです。

言い換えると最悪の事態になっても暮らしが維持できる社会というものが正義に基づく社会であると言えます。

このロールズの考え方は、相談に乗るときに役立つなあと思いました。
まず先入観を捨てるということです、相手の性別や地位や人種などによる先入観を捨ててフラットに考えるということ。次には最も弱い他者を思いやって考えることです。この原理から一つ一つ階段を登るようにお互いの関係を構築してゆく、、、こんな風に考えました

いうは易しで実際にはなかなか難しいのですが、少しでも自分の相談スキルが上がるように先人に学び努力をしていきたいと思います

ではでは

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