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藤井聡太二冠に学ぶ次の一手(7) 20手先で突然生きる駒

谷川浩司 九段 vs. 藤井聡太 二冠 第79期順位戦B級2組4回戦(2020年9月9日)のある局面が下の第1図。

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第1図 51手目 ▲5五銀まで

▲5五銀はどちらかといえば後手にとってありがたい手だったかもしれない。△同銀と応じてもいいし、放っておいても構わない。

ここで藤井二冠が指した手が今日の「藤井聡太二冠に学ぶ次の一手」。

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第2図 52手目 △6五桂まで

一見しただけではこの手の価値がわからない。このままだと先手は△5七桂成に玉で応じなければいけないからやはり▲6六銀と戻した。で、その後、この桂馬はどんな働きをするのか?

結論からいえば、投了直前までこのまま。

もちろん、このままの位置でも相手の玉頭付近を睨んでいるので十分すぎるほどの価値はある。ただ、その近辺は先手も金銀桂とあって当面はそんなに怖くはない。とはいえ、目の上のたんこぶであることには間違いない。

先手はいずれこの目の上のたんこぶを排除しにくるだろう。それが後手の思惑だったのだろうか。

実際に73手目、先手はこの桂馬を取る。

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第3図 73手目 ▲6五銀まで

先手陣の守りが若干薄くなったところで後手は△4七で馬を作り一気に寄せていくことになる。

まるで取られるためだけにいたかのような桂馬。


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