チェスのレシピ

「折々のチェスのレシピ」始めました。「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」を大体読…

チェスのレシピ

「折々のチェスのレシピ」始めました。「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」を大体読んだよという人向けになります。chess.comでスコア1300点〜1500点で恒常的に指したい人やそれ以上を目指す人向けになります。並行して「半自伝的エッセイ」も時折アップしています。

マガジン

  • 少しだけ高度な知識をあなたに(折々のチェスのレシピ)

    chess.comで1500以上のスコアを目指すのであればどうしても知っておきたい知識やテクニックを紹介。

  • 折々のチェスのレシピ

    「チェスのレシピ」と「新・チェスのレシピ」でご紹介したレベルの知識がある人向けになりますが、必ずしも飛び抜けて高度な内容ではなく、日々のチェスライフにおいて役立つ手筋や知識を折に触れご紹介しています。とはいいながら、chess.comで1500点以上のスコアを目指す人にも有益であろう内容になっています。時折は復習もあったりします。

  • 半自伝的エッセイ

    「チェスのレシピ」「新・チェスのレシピ」「折々のチェスのレシピ」を書いている人はどんなチェスライフを送ってきたのか。

  • 中盤戦(折々のチェスのレシピ)

    駒がぶつかり合う中盤はある程度先を読まないと正しい手が選択できませんが、一定のパターンのようなものは存在します。いくつもの局面を見てパターン認識能力を向上させておくことが重要になります。

  • キャスリング考(折々のチェスのレシピ)

    気軽にやってしまいがちなキャスリングですが、実はそれが敗着につながったり、大悪手だったりすることが多々あります。そんなキャスリングをしないために。

最近の記事

折々のチェスのレシピ(359)少しだけ高度な知識をあなたに

前回の第1図でa6とせずにオープンな展開を志向するc5を指した場合を考えます。 a6とした場合にはクローズドな進行になる可能性が高いと前回ご説明しましたが、c5の場合にはそれと比べてオープンな展開に誘導しやすくなります。しばらく進むと、 上のような局面になっている可能性があります。もちろん他の展開になっている可能性もありますが、おおよそ似たような駒組みになりやすいです。なぜかというと、ある程度の棋力のあるプレイヤーは最善手か次善手を指してくる可能性が高いため、実は展開が読

    • 折々のチェスのレシピ(358)少しだけ高度な知識をあなたに

      今回からはスコアが1500以上のプレイヤーと対局しても困らないようになる知識をご紹介していく予定です。といっても、20手先が読めないとダメですなどといきなりハードルが上がるわけではなく、むしろ細部にこだわっていくことになるだろうと思います。 というのは、それほどスコアが高くないうちは何気なく指しているかもしれない手が実は対局に大きな影響を与えている場合があるからです。序盤や中盤の一手(相手でも自分でも)の意味を理解しておくと、その後の展開がイメージしやすく、そうなると一手一

      • 「半自伝的エッセイ(37)」定跡と素数と親知らず

        ある時、急に悪寒がしてきて、立っているのも辛くなった。幸い自分のアパートの部屋にいる時だったので、すぐに敷きっぱなしの布団に潜り込んだ。どれぐらい寝たのか定かでなかったが、大量の汗をかいて目が覚めた。布団に入ったのは夕方だったが、周囲が真っ暗になっていたから夜だということはわかった。汗でぐっしょりのTシャツを新しいものに替え、その上にトレーナーを着込み、それでもまだ寒いので半纏を着込んでまた寝た。 汗をかいては着ているものを替え、また寝るの繰り返しで、何日経ったかもわからな

        • 折々のチェスのレシピ(357)お知らせ

          1年半ほど前に「チェスのレシピ」を始めてから、次に「新・チェスのレシピ」へと移り、そしてこの「折々のチェスのレシピ」へと続いてきたわけですが、数えてみると600本近い記事になっていました。 十分な量の知識を伝えきったという思いはまだありませんが、「チェスのレシピ」を読む前は900点台だったスコアが1500にまで上がったよという人もいて、それなりには役に立ったのかなあという感慨は少しあります。そういえば、将棋の研究に役立ったという感想もあってちょっと嬉しかったです。 さて、

        折々のチェスのレシピ(359)少しだけ高度な知識をあなたに

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        • 少しだけ高度な知識をあなたに(折々のチェスのレシピ)
          2本
        • 折々のチェスのレシピ
          361本
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        • 中盤戦(折々のチェスのレシピ)
          18本
        • キャスリング考(折々のチェスのレシピ)
          21本
        • 序盤で指してはいけない手100選(折々のチェスのレシピ)
          27本

        記事

          折々のチェスのレシピ(356)中盤戦

          相手が打診してきた手に対して、そのままやらせたらどうか、と考えることで応手を決定できることが結構あります。例えば、 こういう局面になった際に、放っておいても問題ない、というか、むしろ相手が困るはずとすぐにわかるようになるとチェスも楽しくなります。まず、 e4のポーンを守るためとd1にルークを設置できるようにクイーンを移動させます。ここで賢明なプレイヤーであればdファイルのポーンを進めてくることはないと思いますが、今回のテーマはdファイルのポーンを放置しておいても大丈夫とい

          折々のチェスのレシピ(356)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(355)中盤戦

          中盤は考えることが沢山あって悩みが満載です。 黒にとって次の一手はどれがいいか悩むかと思います。しかし、中盤には中盤の考え方があります。それは、序盤で展開した駒をちゃんと活用することです。上の局面で形勢は互角です。黒はまずまず指せているといえます。 そこで、 d4とすれば、ポーンはひとつ捨てることになるかもしれませんが、b7で眠っていたビショップが生きてきます。当面のところ、黒は守りに不安がない局面ですので、こうして駒を使えるようにしていくのが中盤の指し方のひとつの典型

          折々のチェスのレシピ(355)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(354)中盤戦

          それなりに読みの精度と大局観が試される局面です。 この手に対して黒は手抜こうと思えば手抜くこともできそうです。しかし、自陣にナイトが接近してきたリスクは残ってしまいます。では、ここでナイトを交換したらどんな局面になるか、それをきちんと読まないといけません。 ビショップで取ってくるのが白の自然な応手です。 ここで黒からは、 f6という手がありますが、 白も目障りなナイトを取りにくるでしょう。ここが重大な岐路になります。ここでビショップを取ると、相手もナイトを取ってきま

          折々のチェスのレシピ(354)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(353)中盤戦

          あまり見かけない形の中盤の局面です。こういう時は方針が立てにくいかもしれません。 なにか技が決まるような場面でもなく、極端によくできる場面でもありません。こんな時は少しずつでもポイントを稼いでいく我慢の指し回しが求められます。まず、d5のポーンを取ってくるのが白の狙いですので、 それを防ぎながら相手のポーンを取り、チェックを掛けます。 白がチェックを解除したら、Bd7とするのがいいでしょう。これで白のナイトが当面は黒の陣地に近づくことが難しくなります。この後も我慢の展開

          折々のチェスのレシピ(353)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(352)中盤戦

          黒が優勢とはいえ難解な局面です。 黒からすると、キャスリングをしなかったものの、ひとまず安全な場所にキングを収めたところです。ここで反転攻勢に出たいところですが、一手一手でメイトまでは寄せきれません。 この手は第一感としてすぐに見えますが、 こうされると守りも強化されてしまい、これといった継続手もありません。そこで、Nc5とする前に味付けをします。 ビショップを狙われていると察知した白は、 受けているでしょう。 ここで先ほどのNc5とします。 白はクイーンをc2

          折々のチェスのレシピ(352)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(351)中盤戦

          駒があちこちでぶつかり合っていかにも中盤という局面です。 白はここで駒を捌いていくとかなり有力な手筋を作ることができます。目的はd5にナイトを設置することです。よってdファイルでポーンを捌き合います。 捌きあったところで、 予定どおりナイトを進出させます。ここで黒からはもしかしたら、 ビショップ取りにポーンを当ててくるかもしれませんが、 放置してBf4とします。次に白はNc7が狙いです。Nc7とされると黒には適切な受けがありません。よって黒はビショップを取ることはで

          折々のチェスのレシピ(351)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(350)中盤戦

          「チェスのレシピ」からずっと読んできた人であれば、中盤までは白であれば やや優勢、黒であってもほぼ互角な展開に持ち込めているはずなので、そうした局面の例を選んでいます。下の局面もそうです。 黒は手に悩むところかと思います。黒の悩みとしてはどちらのビショップもいまひとつ働いていないということかもしれません。ということで、 動かしていないビショップをa6にして白のルーク取りにしました。白はルークをe1に逃すでしょう。それから先、この黒のビショップの働きはすごく悪いです。 で

          折々のチェスのレシピ(350)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(349)中盤戦

          ある程度定跡化されている序盤と比較して中盤は手が広い局面が多いです(あるいは手が広く見えてしまう)。下の局面もそうだと思います。 白がビショップの可動域を拡大し、なおかつキャスリングにも備えてきました。白のキャスリングを阻止する手はもうないので、キャスリングをするだろうという前提で駒組みを進めます。 とはいっても何から指していいかなかなか難しいかと思います。黒もクイーンの効き筋にキングが入っているのでここでキャスリングをする手もないわけではありません。しかし、d7の地点に

          折々のチェスのレシピ(349)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(348)中盤戦

          人はミスをするものです。とりわけチェスの中盤戦においては。 白のこの手はかなりまずいです。なぜなら、 クイーン取りとビショップ取りの両方をうまく受ける手段がないからです。仕方なく、 白はビショップを取りますが、 クイーンを取られたからには取り返すしかなく、 しかし、ルークまで取られてしまいます。駒を取ったり取られたり、あるいはその手順も考えなくてはならず、少々複雑ですが、黒としては相手のミスを見逃さなければ圧倒的に有利になる局面でした。 ある程度の棋力がついてくる

          折々のチェスのレシピ(348)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(347)中盤戦

          ほぼ互角の局面ですが、やや疑問手と思われる手を白が指してきたところです。 ぱっと見て、 こんな手を指したくなるかもしれません。クイーンが逃げたら手を稼げるし、ナイトで取ってきたら白はキング周辺の守り駒にもなっていたナイトを失います。 ナイトで取ってきた場合、上の形になりますが、黒にはこれといった継続手がありません。クイーンを逃してきた時もこれといった継続手がありません。そういう時に、それは良くない手だと判断し、別の手を探します。 第1図で、 ビショップを動かすことが

          折々のチェスのレシピ(347)中盤戦

          折々のチェスのレシピ(346)中盤戦

          相手の意図はなんでしょうか。 黒はg6のビショップをナイトで取られるとかなりよくない形になります。そうであれば、 白がビショップを引いてくれれば、ここでビショップ同士を交換したいという思惑があります。よってここは、 ビショップを取ってしまい、同ポーンと取ってきたらRxe6でもいいですし、 あるいは、先にビショップを捨ててしまっても同じような展開になります。 いずれにしても、相手の思惑に嵌らないことが重要になります。

          折々のチェスのレシピ(346)中盤戦

          「半自伝的エッセイ(36)」数式にチェスを代入する

          チェス喫茶「R」にたまに来る人で、大学で数学を教えているという人がいた。皆から先生と呼ばれていた。年齢は五十代だったと思う。珍しい煙草を吸う人で、甘い香りがした。 ある時、先生が店内にあったホワイトボードに何やら数式を書き始めた。たぶん、こんな基礎的な式だったはずである。 (x+3)(x-3) 先生は「誰か展開できる人はいますか? というか、中学校で教わったはずなんですが」と言って店内を見回した。手を挙げる人は誰もいなかった。 「では誰もいないようなので、私が指名します

          「半自伝的エッセイ(36)」数式にチェスを代入する