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WEB Re-ClaM 第58回:クラシックミステリ原書刊行状況(2023/5)

★C. Daly King / Obelists at Sea (1932, American Mystery Classics)

★Ed. by Martin Edwards / Crimes of Cymru (2023, British Library Crime Classics)

★Dolores Hitchens / The Clue in the Clay (1938, Mysterious Press)

★Dolores Hitchens / Something about Midnight (1950, Mysterious Press)

文学フリマが終わり、次の新刊の準備をそろそろ進めていこうかというところです。なかなか暇がないですが、こればかりは仕方がない。
ペンズラー叢書の C・デイリー・キング Obelists at Sea はなかなか強力な企画。日本では既に翻訳されていますが(『海のオベリスト』(原書房))英米では、『鉄路』『空』は復刊されても第一作の『海』だけは復刊されていなかったのです(それだけ、第二作第三作の方が期待値が高いともいえますが)。今回の復刊で、初めて読んだという読者も多いことでしょう。
エドワーズ叢書の新刊はアンソロジー。去年の「スコットランドもの」縛りに続いて、今回は「ウェールズもの」縛りの様子。来年は「アイルランドもの」を出すのかな? 巻頭の The Murder in Judd Lane は、以前本ブログでも翻訳紹介した「ジャッド・レーンの殺人」ですね(あの作品、ウェールズ要素あったっけ……フランス要素はバンバンありますが)。他、エセル・リナ・ホワイト(まだまだあるんだなあ)、カーター・ディクスン「暁の出来事」、クリスチアナ・ブランド「もう山査子摘みはおしまい」など、多数の作品が紹介されています。

ドロレス・ヒッチェンズは、最近『はなればなれに』(新潮文庫)が翻訳されて好評を博しましたが、未訳の作品はまだまだあるようです。『黒猫は殺人を見ていた』のシリーズ(D・B・オルセン名義)も、ハヤカワ・ミステリで一作だけ翻訳されましたがこれで終わるにはもったいない。例によって誤植が多そうなのがちょっと心配ですが……次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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