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WEB Re-ClaM 第61回:クラシックミステリ原書刊行状況(2023/8)

★Lange Lewis / The Birthday Murder (1945, American Mystery Classics)

★John Dickson Carr / He Who Whispers (1946, British Library Crime Classics)

先月は新刊ラッシュも一段落といった感じでした。ラング・ルイス The Birthday Murder は『死のバースデイ』(論創海外ミステリ)、ジョン・ディクスン・カー He Who Whispers は『囁く影』(ハヤカワ・ミステリ文庫)のそれぞれ原書となります。

ラング・ルイスは森英俊氏一押しの作家で、『死のバースデイ』のほか『友だち殺し』が論創海外ミステリから刊行されています。この二作に登場するタック警部補を探偵役とする作品が他に三作ほどあるそうなのですが、この辺りは翻訳される機会があるのかなあ。
British Library のカー復刊が40年代に及び、様々な作品が出てきているのは素晴らしいですね。将来的に一通りの原書が「容易に」しかも「継続的に」入手できる状況も想像できるようになってきました。一昔前ではとても信じられないような話ですが……エドワーズとペンズラーに感謝ですね。

以下、見落としていた刊行情報をば。
六月に Crippen & Landru より Edward D. Hoch, The Killer Everyone Knew and Other Captain Leopold Stories が刊行されています。

全15作が収録された作品集で、内容は以下の通り。
"The Woman Without a Past" (1981), "Captain Leopold Beats the Machine" (1983), "Finding Joe Finch" (1984), "The Murder in Room 1010" (1987), "The Crime in Heaven" (1988), "The Killer Everyone Knew" (1989), "Captain Leopold’s Birthday" (1990), "The Retired Magician" (1991), "Puzzle in a Smoke Filled Room" (1991), "The Summer of Our Discontent" (1992), "Leopold at Rest" (1993), "Leopold Lends a Hand" (1995), "The Mystery That Wouldn’t Stay Solved" (1997), "The Phantom Lover" (1999), "The Emerald Expert" (2000)
と、このように80年代・90年代のベスト集成となっています。ちなみにこの中で邦訳があるのは、「レオポルド警部の復活 Leopold Lend a Hand」(EQ, 97/5)のみと思われます。
レオポルド警部ものの作品集は、本国でもこれが二冊目(一冊目は60年代・70年代のベスト集成である Leopold’s Way(1985)で、実はフランシス・M・ネヴィンズJr編というのが面白い)。100作を超えるレオポルド警部ものにはまだまだ佳品が残されているでしょうし、今後の刊行が期待されます。
なお日本でも、サム・ホーソーン医師やサイモン・アーク、ニック・ヴェルベットと同様に「レオポルド警部の事件簿」シリーズが刊行されたらいいな、と長年言われてはいますが……T京S元社さん、いかがですか(もちろん最後の看板シリーズ、ジェフリー・ランドものも忘れちゃいけない)。

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