27 リゾートホテルの4連泊(続) 28 ナイキのごみ箱 29 コンサート会場の携帯電話

◆ 27 リゾートホテルの4連泊(続)
お名前を確認しておくのは、当たり前のこと。2日めは、二度目の朝食であること、つまり、お客様が連泊であることを承知していると伝えられればよいと思います。
3日めは、「いつも」という言葉をつかうことで、常連様に対応する雰囲気を滲ませる。お客様の気持ちをさらにリラックスに導きます。
最後の朝は、無言で指差して案内する。その指先には、ゴールドに輝くプレートがあり、「予約席」と書いてある。言葉を使わずに、すべてを所作で伝えるレベルになります。これが一番心地が良い。
徐々にお客様のテンションを上げていくのが大切なポイントです。選択権は、お客様にあります。お客様にその都度希望がある場合には、それを言い出しやすい雰囲気が大切です。
実際の研修では、すぐにスケジュール(予定)を聞いて、お勧めスポットを紹介するなどの答えがでます。リゾートホテルでは、のんびりと過ごすのが贅沢な一日になります。
自分が知っている情報を伝えることが、必ずしも心地よいサービスとは限らないことを理解するように導きます。売り手目線とお客様目線の違いに通じます。
短い言葉でも、お客様に対する気遣い、心配りを伝えられます。むしろ、しゃべりすぎに注意です。
一度、止まる。そうすると、「間」が生まれて、「正」しいことが見えてきます。

◆ 28 ナイキのごみ箱
人は、ルール(罰則)に従わせようとするよりも、記述(経験)的規範の影響を受けやすい事実を学びます。
スタッフのマネジメントで、決まりごとを作って、守ることを強いるより、「それ」をやりたくなるような環境を生み出すほうが効果的ということです。
1.模造紙を配布します(グループに一枚)。
2.往来を行く人たちが、平気でごみを捨てるので、街はごみだらけ。この街をきれいにしたいと思い立った若者達がとった行動はどのようなものだったでしょうか?
→これがテーマです。
3.グループごとに自由にディスカッションしてもらいます。
4.ディスカッションは、20分から30分程度。方向を見失っているグループには、インストラクターがアドバイスをします。
5.解答例  ex.街の主要な箇所にごみ箱を設置します。
         そのごみ箱には、バスケットボルのゴールの絵が描かれています。
ごみを捨てないようにと道行く人に働きかけるのも方法ですが、効果は薄い。ありがちなのが、ルールを決める。つまり、罰則を設けるという方法です。これは確かに一定の効果をあげます。さらに効果があるのが、解答例にあげたように、「ごみ」をきちんと捨てたくなる環境を作ってしまう方法です。
自宅でごみを捨てるときでも、なんとなくごみ箱に狙いを定めて投げ入れることがあるでしょう。ごみ箱に、ゴールが描かれていたらシュートしたくなります。
これは実際に、シンガポールの街であった話です。この作戦は見事に当たって、きれいな街になりました。そして、ごみひとつ落ちていない通りでは、ごみを投げ捨てる人がいなくなったそうです。
スタッフみんなが笑顔の店なら、あたらしいメンバーもきっと笑顔になります。
環境が、人の行動に大きく影響します。マネジメントのポイントです。

◆ 29 コンサート会場の携帯電話
マネージメントを考えるとき、一番大切にして欲しいのは、「スタッフが自分で考えて行動するように、その気にさせる」ことです。ルールを決めて守らせるという方法も、集団では必要になりますが、規則で縛るだけでは自主的なスタッフは育ちません。そういうことに気付いてもらうワークです。
1.一つの事例を挙げて、どのような対応が できるかをディスカッションしてもらいます。
 「コンサート会場で、今、まさに演奏を始めようとしたとき、客席から携帯の呼び出音が聞こえました。バイオリンの演奏者はどのような態度をとったでしょうか?」
2.10分から15分のディスカッションをします。模造紙を使って、いろいろな考えを展開するようにします。
3.グループごとに発表してもらいます。 コンサート会場では、事前に「携帯電話の電源を切る」案内がされています。それで もそれを怠った、あるいは忘れた客がいたことになります。
 ①係りのスタッフに、注意させる。あるいは自分で注意を促す!
 ②無視して、演奏を始める。
 この2つがよくみられる解答例です。どちらも、他のお客様の「気分」は損なわれたままで、演奏が始まってしまいます。この点が、不十分といえます。
 ③バイオリニストが、客席から聞こえた着信音と同じメロディーを奏でて、客席の気持ちを一つにしてから、演奏を始める。
これは実際に、あるコンサート会場であった話です。ルールだから守るべきというのは簡単ですが、それが守られなかったという「事実」が起きたときに、どのように対応するかがポイントです。どの目線で考え、行動を選ぶか・・・です。

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