悠葉

声を巡る研究。時々道草。 月に一、二回の更新です。

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最近の記事

別れ

大切な人との永遠の別れは 覚悟をする時間があっても やっぱり突然な気がして ぼんやりしてしまう 用意しなければならないことや 聞かなければならないことがあるのに ぼんやりしてしまって あっという間に時間が過ぎていく それでも人と会えば どうしたって気を張るだろうだから もう少しあの人といた記憶を 交わした言葉を 存在を

    • 置いておく

      都合の悪いものは 排除したくなる 例えば寂しさや不安や怒りや 人によって色々 でもそれも自分 排除ばかりしていたら 全体の力を失う だから駄目とせず そのまま置いてみる 嫌だけど 駄目ではない 森とタタラ場 双方生きる道はないのかと アシタカも言っていることだしな

      • ねこ

        使い魔のような エメラルドグリーンの目を細め 三本の足で 堂々と歩く猫 自分も猫になって 一緒に日向ぼっこできたらなあ 1日だけでいいから叶えてくれる 魔法使いがいたらなあ

        • 無題

          光に願いを 影に願いを 穏やかに

          逆行

          野良猫は怪我をしたり 体調を崩すと 姿を消す 具合が良くなるまで 安全なところに身を隠し 日光を体に当てたり じっとして回復を待つ 任せる そしてもう大丈夫というところで いつもの場所に戻って来る 人は 生活に追われると 待つ暇が無くなる だから早く都合よく治れと 身体の声を無視する 任せない そんなことを繰り返していたら その思い通りは もう無理だよって いつか身体にそっぽを向かれそうだ 身体の自然からは離れられない それは幸せなことで 孤独じゃないってこと

          枯れていくもの

          春がいい 桜も咲くし 元気になるから そんな声を聞いたけど 秋や冬もあるから 華やかな春がある 静けさの中に 枯れていく佳さがある

          枯れていくもの

          倍音

          ロングトーンで声を響かせると ネコは時々倍音を聴く メロディやリズムには 興味がないらしい 響きが身体に及ぼす力は どれほどのものか 体験を通して 気づきながら けれどそれが覆るように まだ深くにいくのかと 驚きながら穴を掘る 科学的にどうかもいいけれど 自分の生きる中でどうかが大切 ネコと一緒

          最後は置いていく

          生まれて呼吸を始め 動きや言葉を覚え 数えきれないほどの体験をし 何かを得て 何かを失い 何かは残る いつの間にか与え いつの間にか受け取る 一瞬のすれ違うだけの人に 励まされたりもしながら そして 当たり前にできていたことを 少しずつ置いていくように失くし 最後は息も ここに置いていく 少しずつの人もあれば いっぺんにの人も 生きていくうちに 当たり前がどれだけ幸せか 実感として分かってくる 生きていて残るのは やはり刺激ではなく 味わいなのだと思う そ

          最後は置いていく

          暑さと身体

          雲が形を変えていく 次どうなるのかはわからない とても暑い夏だった まだ終わってないけれど 来年も同じくらい暑いのか 先のことはわからない 塩を舐めたら甘かった 身体が塩を必要としていた 感覚は無視したくない 呼吸みたいに気づけたらいい 身体のことはわからない いつまでたってもわからない

          暑さと身体

          情報感覚

          情報がたくさんあり過ぎて 次から次へと忘れていく 分かった気になって終わる 身につくというのとは ちょっと違う 情報って何だろう あるものまね芸人さんが ものまねは 残像でやるくらいがいいのかもしれない と言っていた 自分が受け取った 内側に届いた「感じ」に にじり寄る 自分のものにしていく その感じが 人にも届くのかもしれない 残像 気配  呼吸 余韻 形になる兆し

          情報感覚

          忘れない

          祖母は戦争のことを語らなかった 語れない という顔をしていた どれほどの痛みが 傷がそこにあるのか おばあちゃんに こんな思いを抱えさせた 子供の私には その表情だけで充分だった 深い悲しみ 底しれない虚しさ 祖母が見せてくれたもの 忘れない

          忘れない

          作品を通して

          予期せぬ出来事に なんで自分ばかり なんでこんな人生 そう傾く精神と どう折り合いをつけるか 映画を観て身に届く 言葉にならない 心地悪くはない塊 良いか悪いか 役に立つか立たないか 把握やコントロール そんな視点から離れ いつの間にか共に 奥深く潜っていって 戻ってきたときに ひとり感じ残ったもの 作品のタイトルが響く でもそれはみんなではなく ひとり  ひとり すぐに分かろうなんて おこがましいな 楽しませてくれよなんて 恥ずか

          作品を通して

          小さな幸せ

          久しぶりに本屋さんで本を買った。 「スタジオジブリ物語」 店員さんがカバーをかけながら 「映画、もうすぐですよね」と言った。 「はい。楽しみで」 「楽しみですよね」 そんな他愛もない会話でもう幸せ。 店員さん、ありがとう。

          小さな幸せ

          繋がり

          猫は猫同士 何か繋がっている 喧嘩することがあっても 知り合えば 付かず離れずの 礼儀をわきまえたような関係になる 言葉がなかったら 人ももう少し 繋がりを感じられるかな 声の響きに集中する時 分離が薄まる 思考が忙しい時 猫はいつも師匠になる

          「MONSTER」のヨハン

          母親は自分を捨てようとしたのか? ふたりともいらなかったのか? ヨハンは絵本を読む 妹の恐ろしい体験を聞く 絵本を読み想像を膨らませる 誰もいない いるのは絵本のかいぶつ 同化していく 意志とは関係なく 圧倒的孤独の現れ 怯える人に そして自分に絶望しながら 飲み込まれ 飲み込んでいく 一方でヨハンの能力は 自分の奥底の 根源的想いも明らかにしていく いらなかったのはどっち? 思い出すニナ 孤独に触れるテンマ 逃げなかったふたり 母親

          「MONSTER」のヨハン

          どうしたいのか

          自分がどうしたいかを突き詰めることは なかなか厄介で 目の前のお茶を 本当に飲みたいかなんて考え出したら どんどん分からなくなるので やりたいことをやろうなんて スローガンみたいに言うけど 案外そういうことは 考えなくてもすでにやっていたりして だからもうちょっと 自分をほっといても大丈夫

          どうしたいのか