見出し画像

『モサド』読了

小谷賢先生『モサド』読了しました!

モサドとはイスラエルの情報機関ですが、その源流、創設の経緯から書かれており、大変勉強になります。
特にザスラニ(モサド初代長官となるルーヴェン・シロアッフ)がユダヤ機関政治局長シャレットに提出したレポートの内容は知っておくべきだと思った。

「『インテリジェンス』、ヘブライ語には適当な訳語が見つからないが、これは政治機構の中で最も重要なものであり、特に今のような戦時において威力を発揮する。私は来る日に備え、この『インテリジェンス』が我々の政府機構に組み込まれることを信じてやまない」

そして情報機関を設置する上でユダヤ人が抱えていた問題を指摘している。
①訓練を受けたプロフェッショナルの不足
②インテリジェンス業務への偏見
③ユダヤ人には長期的な視野に立つ先見性が不足している
④最重要同盟国であるイギリスとの関係がぎこちない
⑤各組織が情報を共有できていない

こうした問題点は今の日本にとてもよく当てはまるのではないかと思う。
日本が対外情報機関を作るにあたってアメリカやイギリスなどをモデルにしたらという声も聞くが、そもそも日本はこうした問題点を認識して、克服しなければならないのでは。
組織や仕組み、法律は、作ればいいだけじゃない。

さらに「おわりに」には、モサドと政治的諸勢力や諸外国との情報機関、そしてマスコミとの関係についても触れている。
組織を指定する根拠法を有しないモサドが、これらとどういうふうな関係性を築き、どう変化していったのかも参考になるのではないかなと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?