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【読書感想文】恋文の技術


 読者諸君、楽しい土日をお過ごしのことと思う。
 私はというと、実家の部屋にこもって、ひたすら読んでは書き、読んでは書き、読んでは書きの繰り返しだ。
 つまらない、などと言うな。つまるところ、私を遊びに誘い出してくれる心優しき友人がいないということなのだ。諸君らの言う、つまらないは本質だが、本質を突く行為は人を傷つけることが多い。
 本質は捨てろ!机上の空論で生きろ!と社会に叫びたい私だ。

 今回紹介するのは、私の大好きな森見先生の作品だ。書簡体小説である。この本を読む度、素敵な手紙のやり取りを一度誰かとしてみたかったと、思ってしまうな。

 言葉遊びと情けない言い訳は紙一重かもしれないが、その狭間で図太くのたうちまわるのは、何だかとても楽しい。森見先生のレトリックはそんな世界を作ってくれるのだ。

 装丁がとても可愛いので、お部屋に一つ置いておくのもいいかもしれない。内容は決して可愛くはない。いや、女性はモテない男性を憐れんで「かわいい」と言ったりするな。それに沿えば可愛いかもしれぬ。
 何はともあれ、とにかく面白い小説だ。私史上一番笑った作品である。読者諸君も是非読んで笑ってみてはいかがだろうか。

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