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「ジェリービーンズの工場見学」の巻

 2009年冬、サブプライム問題が深刻だ、と半可通が口にしていた。実際大変だったのだが、日本では結構誤解されていたところもあるのではなかろうか。「銀行が無理やり家を買わせた」と訳の分からんことを書いている本があった。そんな訳ないじゃないか。簡単に言うと、低所得者でも家を買えるように、住宅ローンを組みやすくしたということだ。勿論審査はあるが、その審査をザルにして、どう考えても返済できそうにもないような人たちにも金を貸してしまった。それが焦げ付いて、住宅を差し押さえたが、評価額が下がって、売却しても貸した金が戻ってこないという愚かな図は、日本のバブルのときと同じだ。人間とはかくも歴史に学ばないものなのなのだろうか。
 そのサブプライム問題で、住宅が差し押さえられたり、やむを得ず売りに出したりしている家が目立つ街がある。その多くは、2つの大都市の中間にあって、自動車による通勤時間が2時間半までの都市。低所得者がギリギリ買える住宅が供給されたような都市だ。具体的に私が知っているところで言うと、サクラメントとフレズノの間にある、ストックトンやマンティーカ、サクラメントとサンフランシスコの間にあるヴァレーホやフェアフィールドなどがそれで、2009年には売り出し中の家がごろごろ出ていた。ヴァレーホなど、市そのものが倒産した。カリフォルニア州としても危なかったらしいが、そのひとり当たりの債務は、日本の国民ひとり当たりの債務の半分に過ぎないらしい。まぁ、日本の場合財務省が隠蔽主義だから、そう簡単な話ではないようだが。
 さて、前置きが長くなった。その空き家が多く連なる、寂れた街フェアフィールドの話。
 日本でもソニプラなどに置かれていて、とても有名なジェリービーンズ「ジェリーベリー」の工場がその町にあるのだ。アメリカのたいていの工場は見学コースがあり、ここでも、工場見学をして試食を楽しみ、買い物ができるという施設がある。

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 ジェリービーンズ? そんな不味いお菓子は食いたくない。それが多くの日本人の反応だろう。筆者だって、子供のころに食べた、色だけは楽しいが、味覚も食感も決して楽しませてくれない、あのジェリービーンズを思い出すと嫌になるが、このジェリーベリーは違う。

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 まず、やわらかく、昔のあれのように粉っぽさがない。そしてカラフルな色は、そのまま天然香料を使ったフレーバーで、非常にリアルな味がするのだ。種類は限定品を入れれば、100種類を軽く超えるのではなかろうか。常に新味を開発しているということだ。そして試食は何回でも自由。気前もいい。

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 アメリカ人は味がはっきりしているものが好きだ。悪く言うと、微妙な味の差が分からない。だからこのジェリーベリーの味は、ちょっときつい目になっている。そういう意味では、ジェリーベリーをもってしても、日本人はジェリービーンズを愛する日はまだ遠いのかもしれない。
 日本人観光客は、よっぽど物好きでもない限り、こんな田舎に来る機会はないかもしれないが、サンフランシスコでレンタカーをして、ナパバレーなんかに行くときに、一寸寄り道をしてこういう施設を観るのも悪くないと思う。ジェリーベリーが好きになるかどうかは別にして、数え切れないほどのジェリーベリーが製造される工程は観ていて非常に面白いし、ジェリーベリーをモザイクのように使ったアートなど、他では見ることのできないものも展示されている。

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 ちなみに、上の写真の右端に描かれたロナルド・レーガン元合衆国大統領にして元カリフォルニア州知事は、ジェリーベリーの大ファンで、執務室には必ず、このお菓子の入れ物があったらしい。
 え?、いくら言われても、甘いモンはだめ?
 そういう人のために、この街にはもうひとつの有名な工場見学スポットを紹介しよう。それはあのバドワイザーだ。

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 見学後いろんなビールの中から2種類まで試飲させてくれるし、オリジナルグッズも面白い。左党の方はこちらへどうぞ。

2009年02月14日 15:46付拙ブログ『無闇にアメリカに来てはいけない』より「中間地点のお楽しみ」に加筆修正した。

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