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「パトカーの路上駐車は許される」の巻

 アメリカでは比較的路上駐車が容易だ。道路が広いおかげで、ダウンタウンのど真ん中でもなければ、駐車するスペースは容易に見つかる。ど真ん中でもメーターパーキングは結構ある。しかし、いくら何でもこの光景は珍しいのではないか。パトカーの数珠繋ぎである(いずれも、2008年6月23日撮影)。
 ここはとある都市の警察署の前にある通り。そう、パトカーの駐車場がないので、見事な路上駐車の光景を見ることができる訳だ。

パトカー02

 しかし、いくら路上駐車が違反ではないとはいえ、パトカーを止めっぱなしというのも如何なものかと思うのだが、それがこの国なのだろう。住宅地では、地域住民以外の駐車制限をしているところもあるのだが、この場所は、ケーサツの縄張りだから、もちろんそんなルールも関係ない。実は、ここは大学から比較的近いところにあって、大学生が集まるような、バーやカフェが近くにあるので、彼らも駐車自由の恩恵には浴しているとは言える。
 警官はパトカーを通勤に使うこともある。例えば日本では、警官が昼食を摂りに行くときには、パトカーを使うことはまずないだろう。しかし、こちらでは、レストランにパトカーが止まっていて、すわ、事件か?! と思いきや、ただ単にお巡りさんが飯を食っているということが殆どだ。まぁ、事件というか、人が逮捕されているシーンなどは、大都市ならば、1日ドライブしていたら簡単に目撃できる。さすがにその写真は撮れないが…。
 制服警官がパトカーで食いに来たら、無料にするという店もあるらしい。無言の圧力に負けて、ということではない。アメリカ人は公共サービスの職員に対して、様々な形で謝意を表する。クリスマスには、警察官や郵便配達の人、学校の先生などにささやかなプレゼントを渡すことも多いし、スタバで前に制服の軍人がいたら、後ろの人が会計をしてあげる、というようなことも目撃する(私は、ハワイのスタバで自分の番になったときに、財布を車に忘れて、取りに帰ろうとしたら後ろの人が払ってくれたということがある。ちなみにその時は会社の制服であるアロハシャツだったが、もちろんそれとは無関係。単にいい人に出会えただけだ)。
 パトカーが行列するこの通りには、もうひとつの、警察の近くならでは(と思われる)交通ルールがある。それは速度制限だ。通常このような住宅街では、時速25マイル(約45㎞)、よくて30マイル(約48㎞)制限のところが多いのだが、この通りはなぜか35マイル(約56㎞)なのだ。結構な違いだ。ケーサツ車両の為ではないかと思いたくなる。こちらのユルさもまた、この通りが若者街からダウンタウンへの抜け道になっているので、彼らはその恩恵にも預かっている。
 住民は迷惑なのだろうか。でも、パトカーの行列お陰で、治安があんまり良いとはいえないこの街でも、この地域だけは超安全……であればよいのだが。

拙ブログ『無闇にアメリカに来てはいけない』より「ホームレスのパトカー」(2008年12月20日00:15付)に加筆修正した。

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