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「お祭りの意味」


                                     竹本祐介

 先日、地元のお祭りがありました。
 引越ししてきて2年目の夏です。去年は参加しませんでしたが、今年は町内会の役員なので、祭事委員として参加しました。神輿が9時間ぐらいかけて、町内をまわるのですが、休憩所を6箇所設けて町内の人が神輿隊を接待します。休憩45分~60分、移動20分ぐらいの間隔でまわり、各休憩所ではお酒や食事が振舞われます。僕は神輿の馬(乗せ台)を台車で運ぶ係を担当しました。
 当日は35度を越える猛暑日で、神輿隊のお手伝いとはいえ、暑さでまいりました・・・休憩所では、飲めないお酒をしこたま飲みましたが、暑さで全然酔っ払いません。もともと地元ではないし、子供もまだ幼稚園に行ってないので、知り合いが全くいない状況での参加でしたが、スタッフや神輿隊の皆さんが気を使って話しかけてくれました。
 地元のお祭りは200年近く続く歴史のあるもので、神輿も気合の入った荒々しいものでした。途中、隣町の神輿隊とぶつかり、取っ組み合いの喧嘩になるという演出? もあって大いに盛り上がりました。
 こんなに長時間神輿とともにお祭りに参加したのは生まれて初めてだったのですが、その気合の入れようや、真剣さ、心底楽しむ姿が、時間と共に神々しく思えてきました。日が暮れてくるとギャラリーも増えてきて、町内みんなで盛り上がっている感じで、その場にいる皆がキラキラと輝いて見えます。
 今まで生きてきて何度もお祭りは経験してきました。生まれ育った町でのお祭りは、久しぶりに同級生に会ったり、普段あまり話をしたことのない近所のおじさんや、おばさん等と話ができたり、楽しいものでした。
 今回体験したお祭りは、知り合いが居なかった分、その何気ない人間模様を客観的に見れたことも、時空間が煌めいて感じた要因だと思います。

 終わったのは夜10時30分過ぎでした。
 へとへとになって帰宅し、妻にその日のエピソードを興奮しながら語りました。
 そして妻が質問をします。

「神輿を担ぐ人って神道なのかな?」

 その質問に答えながら、お祭りの本当の意味がわかった気がしました。僕は妻にこう答えました。

「祭りに参加した人全員が神道だよ」

 自然と言葉にでた答えなのですが、自分の居る土地、そこに暮らす人、そこにあるもの、大自然、それに一体化し感謝することが神道の在り方なのではないかと、直感的に想いました。神様を信じるとか信じないとか、他の宗教を信仰しているとかは関係がないのです。日本人の底知れぬ感性はそうやって育まれてきたものだと思えます。

 町内のお祭りは200年の歴史だけど、日本のお祭りそのものは古代から永遠に受け継がれてきたものです。

Wikiで神道について調べてみました。

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  神道(しんとう・かんながらのみち)は、日本の宗教。山や川などの自然や自然現象を敬い、それらに八百万の神を見いだす多神教。自然と神とは一体的に認識され、神と人間とを取り結ぶ具体的作法が祭祀であり、その祭祀を行う場所が神社であり、聖域とされた。
  神道は古代日本に起源をたどることができるとされる宗教である。宗教名の多くは何教と呼称するが、宗教名は神教ではなく「神道」である。伝統的な民俗信仰・自然信仰を基盤に、豪族層による中央や地方の政治体制と関連しながら徐々に成立した。また、日本国家の形成に影響を与えたとされている宗教である。
    神道には確定した教祖、創始者がおらず、仏教の経典やキリスト教の聖書にあたる明確な聖典がなく、『古事記』、『日本書紀』、『古語拾遺』、『宣命』といった「神典」と称される古典を規範とする。森羅万象に神が宿ると考え、天津神・国津神や祖霊をまつり、祭祀を重視する。浄明正直(浄く明るく正しく直く)を徳目とする。他宗教と比べて現世主義的といった特徴がみられる。神道とは森羅万象を神々の体現として享受する「惟神の道(かんながらのみち、神と共にあるの意)」であるといわれる。教えや内実は神社と祭りに中に伝えられている。(wikiより)
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 祭りを体験して、あの神輿の迫力と、それを真剣に扱う、老若男女。あのキラキラした時空間を体験することが、明日への活力になるのだと思います。そうやって古代から、日本人は社会を営んできたのだと思います。

 森羅万象に神を見出し、一体化するのが祭りということをこの年齢になって初めて腑に落とすことができた一日でした。

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