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Movie Must Go on / 2020上半期映画5選

ちょうど今年も半年が終わるということで(その実感が全くないですが・苦笑)、今年の上半期に映画館で観た作品で面白かったもの5本を選んでみました。

ちなみに、この半年で映画館で観た作品は以下の22本。

【邦画】
mellow, さよならテレビ, ラストレター, DUMB TYPE 高谷史部 自然とテクノロジーのはざま, わたしは分断を許さない
【外国語映画】
パラサイト 半地下の家族, リチャード・ジュエル, ジョジョ・ラビット, 1917, ミッドサマー, レ・ミゼラブル, ジョン・F・ドノヴァンの死と生, 黒い司法, 21世紀の資本, ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語, エジソンズ・ゲーム, はちどり
【アニメ】
PSYCHO-PASS 3, 劇場版SHIROBAKO, 太陽の王子 ホルスの大冒険, AKIRA, , 風の谷のナウシカ

約2ヶ月の営業自粛期間があったことを考えるとそれなりに本数観てたんだなという感じです。ちなみに営業停止明けの6月はひと月で6本観てました・笑

上映スケジュールの都合で昔の作品が多くリバイバルされたこともあり、「太陽の王子 ホルスの大冒険」・「AKIRA」・「風の谷のナウシカ」あたりを映画館で初めて観ました

営業再開後はまだまだ人が少なかったですが、先週末にジブリ作品のリバイバル上映が始まって少しずつ客足が戻ってる感じ。とはいえ、着席数を半分にしての営業が当面続くと思うので、映画館にとっては厳しい状況には変わりなさそう

映画館は構造上、換気もとてもしっかりしているし入場時の検温チェックなどかなり厳重な体制を敷いてるので、是非映画館に足を運んでもらいたいなと思っています。

なんて前置きが長くなりましたが、順不同で5本ご紹介します。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

もともと3月からの上演予定がコロナの影響で6月12日に延期になって、ようやく観れた作品。「若草物語」を映画「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督×シアーシャ・ローナン主演で映画化。

四季折々に描かれる、それぞれの価値観を持つ4姉妹の人生の写しかたが本当に素晴らしくて、アカデミー脚色賞はこの作品に上げて欲しかった。

時代転換が結構目まぐるしいので、ちょっと戸惑うところはありつつ、こういう作品を観ると「贅沢な映画体験ができたなー」という気持ちになる。

女性が観たらもっとハマる気がします。絶賛上映中!

ミッドサマー

映画館でこの作品を観てもう4ヶ月くらい経つんですが、いまだにこの映画の圧倒的な美しさと、そのなかで展開するとんでもないストーリー展開のミスマッチ加減が、いまでも脳裏にこびりついてる感じです。

吉本隆明の「共同幻想論」を知ってると、この作品のメッセージ性がよくわかるかと思います。

「この映画を観て意味がわからない、と言ってる人はきっと不都合のない人生を送ってきたんだろうな」と話していた知人の言葉が忘れられません。個人的にはこの映画が意味がわからない、という人とはあんまり付き合いたくない・苦笑(好き嫌いは自由ですよ)

この作品は早くもデジタル配信が始まっているし、ディレクターズカット版(モザイクなしのR18)はいまでも上映してるところがあるかと思います。

ちなみに、主演フローレンス・ピューは前述した「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」で4姉妹の末っ子役で出演してるので、2作品観ると全く違う彼女を見られますよ。

さよならテレビ

2018年に放送された東海テレビ60周年記念番組「さよならテレビ」に映像を追加して劇場版として公開された作品。

この作品は極力ネタバレなしで観て欲しい1本なので詳しくは書きませんが、「事実は一つでも、真実は人の数だけ存在する」ということを再認識せられた作品。

ここで描かれている最悪のケースが、今年起きてしまったテラハ事件にも繋がってると思う。

いま上映しているところはほとんどないので、観るのは難しいかもしれないですが、東京・ポレポレ東中野ではアンコール上映があるみたいなので(時期は未定)、その際はもう一度観に行こうと思ってます。

メディアに関わる仕事をしている人は観ておいた方がいいんじゃいかなと。というか正直、観てない人やばくない?って感じ。

レ・ミゼラブル

このタイトルですが、ヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」とは別の作品です(もちろんタイトルに使われている理由があります)。

ここ数年一番映画のテーマとして取り上げられているのが「格差」、そして「移民」の問題かと思いますが、この作品もその辺りにフォーカスされた内容。しかも、わたしが観た作品の中では衝撃度は相当上位のものがありました(オスカーを獲った「パラサイト」よりも全然上でした)

こういう問題に関して当事者ではないので(と書くとなにか無責任な感じがしてしまうけど)、自分ごととしてなかなか捉えられない問題が、物凄いリアリティに伝わってきます。そしてラストシーンの衝撃。心がかなり抉られた1本です。

この作品はまだ映画館で観れるところも多いので、気になった方は是非に。

はちどり

ラストはこの韓国映画。先日から公開になった「はちどり」です。昨年、韓国では「パラサイト」に次ぐ評価を受けた作品だそうです。

14歳の主人公ウニを取り巻く日常が描かれた作品なんですけど、今年頃の女子はめんどくさいな〜と思いつつ・苦笑、複雑なエピソードの1端1端がとても丁寧かつ繊細に描かれていて、とにかく見入ってしました。

国は違えど描かれてる時代が自分の思春期の頃ともろ被りなので、人間関係の残酷さとか、社会との距離感とか、映画館を出てからいろいろ思い返す帰り道でした。

こちらは平日の夜に観に行きましたが満席(50%上限で)だったので、かなり集客はいいみたい。おすすめですよ。


というわけで、上半期おすすめの5本を紹介しました

もちろんここにあげなかった作品でも素晴らしいものはたくさんありました

「リチャード・ジュエル」はイーストウッド作品の中でも最上位に評価できる作品

「パラサイト」も面白かった。ただ、ポン・ジュノは明らかに賞レース狙いで、いろいろ抑え気味に仕上げてるなと感じてしまって・苦笑。ホントならもう1階層下まで描けるはずだけど、そこまで行くと表現としてより過激になってしまうように思われる。

その結果、初めてアジア作品がアカデミー賞の作品賞を取ったわけですから、ある意味で大正解だったとも言えるわけですが。

コロナの影響で上半期に観られなかったダニエル・クレイグ最後の「007」や「ブラック・ウィドウ」、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に「「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」などなど、公開が控えてるので(シンエヴァはまだ公開日発表されてませんが)、延期された日程で作品を観られる、そんな日常が続いてくれたらいいなと願います。

おまけ

この世界的なコロナの流行で、映画の表現がどう変わるかというのもこの先、気になるところ。日常的にみんながマスクをしている風景が1、2年で収まればいいものの、それすらも当面不明瞭なわけで、映画に描かれる「日常」をどの定点で画にするか。

昔の話ならまだしも、現代、さらには未来が舞台の作品については、どう描くことがリアリティに繋がるのか、など制作してる人にとってはとても悩ましい数年になるような気がします。

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