レジーの「はじめてのほんづくり」③企画書混迷 #夏フェス革命

※12月11日発売 画像のリンクから予約受付中です

(前回のあらすじ)網羅的でフォーカスできてない企画をもう少しシャープにすべし、となった。

何か一つ筋になる流れを…というところで企画を再考。他には「定説を疑う」「ファクトの寄せ集めと整理だけにはならないように」というのも外してはいけないポイントとして先日の打ち合わせでは出てきていたので、それも意識しながらの作業となった。

当初の目論見の『誰が音楽をタダにした?』的なノンフィクション感というのも頭にあったので、自分なりの大胆な仮説に沿って話を紡いでスリリングな感じにしよう!と思ったところで考え付いたのが「リア充」というキーワード。

自分のブログが初めてはねたエントリに「ロックインジャパンのRはリア充のR」という話があって、この「フェスがリア充に乗っ取られていく」という問題意識は自分の根底にずっとあるものだった。だったらこれを本の骨格に据えてみては?というところで、SNSがーとかファッション誌がーとかそういう系の話をメインに構成を作ってみた。流れはあるしいい感じでは…

で、その企画書にあった文章がこれ

<ボツ案②>
『フェス上位時代のJポップ』
「音楽好きの理想郷」として生まれたはずの「ロックフェスティバル」は、いつしか日本の音楽産業全体の趨勢に影響を与えるようになった。そしてその拡大の過程において、“リア充”たちが集うイベントに変容していった --- 「ロックインジャパン」を世界一の規模にまで成長させたロッキング・オン、パッケージ販売から興行へシフトするレコード会社、SNSを使いこなしながら「集まって騒ぐ」ことに大きな意味を見出した若者たち、そんな流れに過剰適応するミュージシャン、フェスを商機と捉えた周辺業界… 様々なステークホルダーの動きを追いながら、フェスが2000年以降のJポップに与えた影響を探る。

5月末にこれを見せたのだが、それに対する反応は芳しくなかった。なんか原田曜平的な…と言われたのは覚えている。確かにちょっと「マイルドヤンキー」とかそういうインチキ概念感が否めない部分もあった。

結果的に、このタイミングで組み立てた流れは形を変えて今回の本の一パートに色濃く反映されている。ただ、この手の話だけで押していくのは厳しいのではというのが編集サイドの皆様の判断だった(そしておそらくそれは正しかったと思う。たぶんこれで書き始めていたらネタ切れになったはず)。

このフィードバックは個人的には結構困った。さてどうしようかなーというところだったが、このやり取りを経て企画案は大きくブラッシュアップされることになる。次回はやっと企画が収束に向かっていく話をします。


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