宇野なずき

僕だけがインターネットの亡霊で他のみんなは居酒屋にいる

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宇野なずきについて

宇野なずきの活動についてのまとめです。 ・歌集 最初からやり直してください 第一歌集。Twitterでバズってネットミームになった短歌「誰ひとりきみの代わりはいないけど上位互換が出回っている」が収録されています。オリジナル版とリメイク版があり、オリジナル版はKindleでのみ販売。既発表、未発表作含めて200首収録。表紙デザインはなべとびすこさん。 最初からやり直してください(リメイク版) 紙の歌集。絶版になっていた「最初からやり直してください」のリメイク版。収録してい

    • 第1回AIのべりすと文学賞 ショート賞受賞作品「空に還る」

      第1回AIのべりすと文学賞 ショート賞受賞作品「空に還る」です。 ※この短歌連作は「AIのべりすと」を使用した作品です。AIと協力しながら作った共作だと思ってください。 花が咲き空から星が落ちてきてわたしは息をする水溜まり 朝焼けを見ている人魚の亡骸がたくさん浮いている海の果て 星を映しながら曇っている瞳その奥に目を凝らす 砂漠だ 雲の向こうにあるはずのお月様を探すために生まれたんだよ 夕暮れに沈む太陽を眺めて死んでる犬を見つけてしまう 影法師と目が合う誰もいない

      • シャニマスと短歌について

        こんにちは、宇野なずきです。 この度、アイドルマスターシャイニーカラーズ(以下シャニマス)が5周年を迎えました。おめでとうございます。 今回は僕が常々感じていたシャニマスと短歌の繋がりについて書こうと思います。何故ならシャニマスがかなり好きだからです。シャニマスや短歌をよく知らない人にも分かるように努めますのでよろしくお願いします。 ※シャニマスの色んなコミュのネタバレを含んでいます。見たくないと思ったら目をそらしてください。 ・シャニマスとは アイドルマスターシリー

        • シャニマス短歌連作「光と歌」

          アイドルマスターシャイニーカラーズの短歌を詠みました。25首あります。 幸せの象徴としてひろげてる翼は空と太陽の色 受け取って貰えたことで受け取った胸に灯されているお守り 虹 きみのすべては分からないけれど同じ星座になる約束を まんなかに月 おかえりが聞こえればみんなのいるところが家になる 矢印の先が隠れている夜にやっと見つけてくれた間違い 静寂にあなたが回した鍵の音、くすんだ部屋が取り戻す色 湖は雨でわずかに揺れていて石を投げ込まないでください まっしろな雲

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        • 短歌
          13本

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          連作30首「自動継続」

          第63回短歌研究新人賞応募作品「自動継続」です。 使うのにコツのいる電子レンジと七周年を過ごすアパート 料理上過失致死罪濡れた手でコップの死体処理を行う 観たかった映画のネタバレを調べて済ませばわずかに濁る血液 運命を変える作業は面倒で五分遅れのままの長針 すぐ遺書を考える癖、生き延びるせいでほとんど日記だけれど 消えたのか痛みに慣れただけなのか知る術のない腫瘍が重い 寝る前に開くスマホの集落で魔女裁判は終わりを見せず 派遣会社の人に言い訳してる夢から覚めたと

          連作30首「自動継続」

          連作10首「生活」

          正常な証明として人を轢き殺せる機械の免許を見せる 怪物になりたくないな 気を抜くと奇声で人を集めてしまう まだ何も言ってないのに行き先を自殺の名所に指定する地図 なんか来るメルマガずっと放置して平日が生活で潰れる 受け取りの有効期限が切れている報酬これが人生ですよじゃねえよ ゲームなら一回死んで戻るべきだろうなぐちゃぐちゃになった線路 やっと吐き出した祈りは流されて朝のアニメのスクショがバズる トレンドに橋本環奈の誕生日 推しの三回忌が近づいて こ

          連作10首「生活」

          連作50首「相続放棄」

          第2回笹井宏之賞応募作品「相続放棄」です。 日常に関係のない糸を切る赤いコードはもう切れている 空っぽの宝箱では生きづらく家族を宝物としておいた 下水処理施設の前で待ち合わせ嫌なことばかり言いそうになる その人が灰になっても大切なわたしの命に別状はない 容量の少なくなったお菓子みたい記憶よりも小さいあなたは 秘密基地みたいで結構いい部屋じゃんかっこいい呼吸器もつけてるし なめらかに非日常へと紛れ込みテレビカードの残高が減る イヤホンと良さげなゼリーを買ってくる

          連作50首「相続放棄」

          連作30首「錆びる」

          第62回短歌研究新人賞応募作品「錆びる」です。 これは自戒 舗装されていない道をわざと選んで揺れる自転車 用のない団地の間を駆け抜ける誰も助からないスピードで 店内はビニールハウスのように人 人 人 古本買取の曲 昼間から足が痺れるまで立って救った世界を棚に戻せば 聖剣を抜くと銃刀法違反 殴られる前に殴ってはだめ この胸に輝く高貴な金属は腐食しないはずなのにざらつく 金プラチナ高価買取 俺は金色を模倣しているだけらしい 筆算ではじき出されたあまり1となって人混

          連作30首「錆びる」

          連作10首「春のサブスク」

          初見ですとチャットに書けば何となく気温が上昇したような窓 欠落をアイデンティティにしないよう四つ葉のクローバーを見習う カーテンを買う予定を忘れたままの七畳に差す朝の直撃 はじめてのライブハウスまでの道でストリートビューになかった花屋 散る 散ると満ちる桜の絨毯を青い鳥から教えてもらう 春風は記憶の外部ストレージまだ泣かずに生きていけている 桜の花びら一枚で感傷的になり放題の春のサブスク 好きなものが増えて暗い小説の続きが気にならなくなっていた 駅前の慣れ

          連作10首「春のサブスク」

          連作50首「希死念慮キック」

          第64回角川短歌賞応募作品「希死念慮キック」です。 お会計ちょうどですね、で握り潰されたレシート見送っている 少しずつ取り戻せない損をするドリンクバーでお腹が痛い ネカフェから出てしばらくは主人公だったのにもう背骨が歪む 錆びついた喉の操作がきかなくて弁当につくゼロ膳の箸 i don't know 帰巣本能 コンビニの前でフライドチキンを減らす 残された時間の渦で確実に起こさなければならない奇跡 いつまでも外装工事を続けてるビル何ひとつ叶えられない 割高な生命

          連作50首「希死念慮キック」

          連作10首「特徴のない怪物」

          リセマラってなんのことだよ特徴のない怪物として生きていく ウルトラレア スーパーレア レア レアであることを誇りにしてはいけない 終わらないロード画面の端にいて永遠に転がされている脳 目を開くたびに下品な広告が視界を塞ぐ命 無料です 負けそうになると切断する癖のせいで仕事をバックれている 昨日死んだ誰かが生きたかった今日 無駄に過ごさせていただきます 一万日連続ログインおめでとう! 祝福だけで終わる祝福 警告 データが破損していますバグで増やした友達が死ぬ

          連作10首「特徴のない怪物」

          連作50首「不可逆の卵」

          第63回角川短歌賞応募作品「不可逆の卵」です。 年上の人を大人と呼んでいる 火災保険の更新はがき 交流が推奨される飲み会でオレンジジュースを動かしている 自らに掛かる重さを理解した人が駅前で潰れていた 確固たる事柄を遠ざけているガチャガチャ回して変な消しゴム 帰宅してからも帰りたいと思うしばらくただいまを言っていない 不可逆の半熟卵ぬるま湯で中途半端に固まっている 手遅れの一歩手前で生きている修正液の跡が汚い 将来を考えるとき壁越しに夜を営む声が聞こえる 寝

          連作50首「不可逆の卵」

          連作30首「感情がなくて悲しい」

          第60回短歌研究新人賞応募作品「感情がなくて悲しい」です。 人生のスタートダッシュを間違えてそれから走るふりをしている 最下位になったら拍手されるのに馬鹿な道化は演じたくない 笑ったら笑ったことを笑われてどの申請も許可が下りない ばりばりと雑言の滝を浴びているマイナスイオンは感じなかった 感情がなくて悲しい 感情がなくて本当に助かりました へえこれが同情というやつですか一緒に死んでくれるんですか 恵まれた人が手ぶらで現れて何も買わずに帰っていった かわいそうだ

          連作30首「感情がなくて悲しい」

          連作50首「デザートの蜃気楼」

          第62回角川短歌賞応募作品「デザートの蜃気楼」です。 きみのいる世界を食べてしまいたいきみを最後の楽しみにして こんがりと色づいた頬トーストのように飛び上がりたい週末 禁断の果実のパイが焼き上がるまでのアダムとイブのお喋り 動物の型を抜いたらオーブンで命を与える共同作業 ざくざくと噛みしめている幸せの音源となる黄色いざらめ ピーナッツバターみたいなカーディガンきみの背中に塗りつけている 数億のブルーベリーを飲み込んでその目をずっと見つめていたい 科学的根拠はな

          連作50首「デザートの蜃気楼」

          連作20首「プロトコル」

          清潔なふりをしている灰色の空気を深く吸い込んでいる 教室の言語に対応していない僕のノートを埋める文字化け 騒がしいクラスメイトの視線から安全に取り外されている ディスプレイだけが明るい「ようこそ」と迎えてくれる野戦病院 受け取った以下同文は特別ではないと思い知らせる装置 情熱を持った自分の「次回から表示しない」にチェックを入れる 満員の銀河鉄道いつまでも機械の体は手に入らない 歯車が噛み合ってないわけじゃない歯車なんて持ってなかった 死んじゃう

          連作20首「プロトコル」

          自選短歌20首

          僕だけがインターネットの亡霊で他のみんなは居酒屋にいる   「五時半に起こして」「 ウェブで“助けて”に関する情報が見つかりました」   花の名に詳しい母は無機質な僕の名前を思い出せない   お前はハリーポッターの絵が描いてある電車のロンの車両に乗れよ   友人が去った線路を眺めてはまだ運転を見合わせている   くノ一と一夜をともにしたはずが俺の隣に転がる丸太   後ろから蹴ってほしいと言ったのに火炎放射は話が違う   君の目は実家のシャワーみたいだねあたた

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