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半身マヒ!右半分が低反発マットレスみたいに感じられた

☆DAY1ーA

2017年1月19日に脳出血して急に右半身に力が入らなくなった。その2時間ほど前からなんとなく寒気がして本調子じゃないな、とは感じていた。
そこまで酷い状態ではないだろう、と思って遅い夕食をとろうとしたが、食欲がない。そのうち、座っていることさえできなくなった。完全に右手足の感覚が失われていた。ソファに座っても身体が右にゆっくり崩れ落ちてしまい、そのまま起き上がれない。
「ダメだ、こりゃ」
何十年ぶりかで、いかりや長介のダミ声が聞こえた気がした。

救急車に乗せられると、車内で隊員が救急病院と連絡をとり、行き先を探していた。
「ええ、そうです。脳卒中の症状です」
ひとつめの大学病院ではベッドの空きがないと断られたが、ふたつめで受け入れてくれるとの事。たらい回しは避けられた。
救急車内では比較的冷静だったのは意識がしっかりしていたからだろう。

これまで何度も救急車に乗せられているが、その全てで意識を失ったまま病院に運ばれるか、病院の間近で意識を回復するかだったからだ。先天的な脳血管の異常が原因で、けいれん発作が起きて意識が跳ぶのだ。それについても後で説明したい。なにしろ救命士にも、
「えーっと、病名を言っていただけますか?」
と何度か聞き返されたぐらい、ポピュラーでない病気で10万人に1人の割合で発生などといわれているため、いろいろめんどくささが伴う。

痙攣はたびたびだったが、出血と麻痺は初めてだ。だから、自分がどんな状態なのか確認するために、左の指で右半身のあちこちに触れてみた。
まるで他人の体のようで実感が伴わない。
感覚はある。だが表現が難しい、不可思議な感覚だった。
何に似ているだろう?
感触の記憶をたどってみると、マットレスに似ていた。
昔、ウレタン素材の低反発マットレスというのを買ったが、高価だったにもかかわらず、わりとすぐヘタってしまった。ゴミとして出すことになったが、そのままだと粗大ゴミ扱いになるため、切り刻む必要があった。カバーをはずし、ウレタンをカッターでぶった切ったが、その触感に似ていると思った。マットレスをぶら下げたカラダ。想像するだけで重そうだが、実際に重いのだ。
とにかく、右半身が動かないことには変わりがない。そうこうしている間に救急車は大学病院に着いた。

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