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そこにあなたがいるかのように

洗濯物を干す時は音楽をかける
音楽がないと生きていけない遺伝子は
月日をかけて伝染したみたい
間に電線なんてなかったのにどう伝染したのか

階段登って玄関を開ける時、
ちょっとだけ長めに扉を持ったまま佇んでいる
自分しかいない家に自分より先に何かを入れてしまう
暗い部屋が現実を見せ、
中の扉はスっと開けてスっと入れる

猫の目がビー玉みたいって思えた時、
猫の耳を蝶々みたいって思えた時、
軽く口角が上がるのは
気持ちじゃなくて多分筋肉が記憶している

母さんに似た人を好きになるってよく聞く
父さんの好みが遺伝しただけだと思う
今のとこあんまり似てないねって、
斜め上を見てたと思うのに今は真横くらいを見ている

ベンチはなくなっていた
赤いベコの上が丁度よかった
早朝の雨上がりが身の丈に合っていた
早朝の雨上がりに半袖は丁度よくなかった
また無意識に振り返った、どこかで誰かと会っていた

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