【短編】『ビブリオの夢物語』
紙が豊富にある国「パピルス」では、本がたくさんつくられていました。子どもたちの憧れの職業は作家。とある村の少年ビブリオも、将来は絶対に作家になると決めていました。しかし、ある夜のこと。火の星が降ってきて、この国に生えるパピルスを焼き尽くし、紙が高価なものになってしまいました。娯楽のために紙を使うなど言語道断。本も作家も、この国から失われつつありました――。今も夢を追いかけている人に寄り添う夢物語。
とおくとおく、ある星に、「パピルス」という小さな国がありました。
パピルス