霊能力の開花前夜のお話、中編です。

前編はこちらから👇

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霊と別れを告げたはずの次の朝、すっかり体が動かなくなっていた。

重力が50倍くらいに感じられて、それでもなんとか体を持ち上げて起き上がった。
その日は朝から遠方に日帰り出張の予定で、新幹線にとりあえず乗らなければならなかった。宮司さんに急いで電話するも、繋がらなかった。

根性を出して、ずるずると重い体を引きずり、なんとか新幹線まで辿り着いた。2時間半の車内、スマホで「除霊」で検索しまくった。信じられる能力者がいれば、地球の裏側でもどこへでも這いつくばって行こうと思っていた。

しかし、除霊でものすごい数のページが出てきたが、どのページを開いても納得が行かない。どの説明も辻褄が合わないと思った。

そのうちに「除霊」と「浄霊」という言葉が別のものであることを知る。「除霊」はただ霊を取り除くこと、「浄霊」は霊を成仏させること（霊界に戻すこと）、とあった。私は除霊じゃなく、浄霊というものを望んでいるんだと分かった。そこから浄霊をしてくれる人を探したが、何を読んでも、どこを探してもピンとこない。

ネット上には答えがないように思った。でも、ふと某巨大掲示板を思い出し、何か裏の情報が書き込まれていないかと思って検索した。そしたら、気になる書き込みが見つかった。

ある女性が、「自分の娘は精神病院に何年も通院しているが、一向に良くならない。だから霊能者を頼った。でもダメで、複数の霊能者を訪ねたが、どうにもならない。娘は不登校で引きこもっている。」という相談だった。そうしたら、その書き込みに対し、ある人物がこう答えていた。「あなたの守護霊がうちに助けを求めにきた。だから処置する。」と。

その書き込みからしばらくした後、その女性が「嘘のように娘の目の輝きが戻っています！信じられない、ありがとうございます！」みたいな内容のお礼を書きこんでいた。それに対して「私にお礼を言う必要はない、簡単なことだから。助けを求めにきたあなたの先祖に感謝しろよ」そう書き込まれていたのを見た。

意味がわからなかった。会ってもいないのに、こんなことができるんだ？と。興味を持ち、その人の書き込みを過去に遡って読み漁って、色々驚愕した。

なぜ遠隔で処置ができるのか、説明する書き込みが出てきた。また因縁の仕組みについても、実に明確な書き込みがあった。また霊をどうしているのかも、全ての説明において淀みも誤魔化しもなかった。全てがストンと腹に落ちた。自分が探していた人はこの人だと思った。

だが同時に恐ろしい書き込みがいくつも出てきた。

「助けてください。」と助けを求める人に、「助けてくれという奴は助けない。」「自分は人助けが大嫌い」「人間が嫌い」と返答していた。そればかりか批判してくる他の能力者に対し、「お前の霊体の手足引きちぎってやった。」「叫び声が聞きたかったから霊能者に霊媒させた。」最後には「魂ごと消滅させてやった。」と。

罵詈雑言の大喧嘩になっている・・・魂を消されたと聞いて謝って赦しをこう者もいる・・・警察に連絡をしたという者もいる・・・まさに阿鼻叫喚の地獄絵図・・・

さらに、魂を消すことなんてできるわけがないと言う批判に対し、「できるんだよ。中身は人間じゃないから」と。肉体は魂がなくとも動くから問題ないだろと。

ちゅちゅちゅ中二病・・・・？と思った。
普通じゃない。気がふれている。悪魔や、悪魔！

「霊的にみれば生きてる人間の方が加害者である場合が多い。生きてるというだけでなぜ加害者の肩を持たねばならない？」

このような書き込みも、なぜか不思議と筋は通っている気がした。

そうこうしているうちに、自分の視界が強く歪む感覚がした。正体を現した霊が、容赦なく意識を押さえつけにかかっているように感じた。このままだとやられると思った。もう、この人しかいないと腹を括った。

しかし、掲示板の書き込みは随分と前に止まっていた。最新のスレも見当たらなかった。書き込む先もわからないまま、他のスレも探し回った。

あるスレに、その人物が某SNSにアカウントを作って潜伏していると言う情報を得た。だけど、その人に助けを求めるわけにはいかない。助けてくれと言えない。だから不特定多数の人に向けて、ただ霊障の内容を書き込むことにした。

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後編はこちらから👇