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35歳を過ぎても人は変われるが、その条件は結構難しい

今はそうでもないのですが、ひと昔前まで「35歳転職限界説」なんてものがまことしやかに言われていました。

実際は35歳過ぎてから転職できた人は昔からそれなりにいるので一概には言えないと思いますが、この説が出てきた背景には「人間は35歳を過ぎると考え方が凝り固まるので、会社の風土に馴染めなくなる」という考えがあるのではないかと思います。(実際に聞いたことがあります)

そのため、総合職で中途入社しようと思ったらできるだけ若いうちの方がいいという発想になります。(専門性が高いスペシャリストなら年齢は関係ありませんが)

雇用形態の良し悪しの話はさておき、人間は本当に一定の年齢を過ぎると凝り固まるのか考えてみたいと思います。

実態として「変える」のはかなり難しい

私どもは様々な企業様で30代後半から50代の方を相手に研修を行うことがあります。この年齢層の方は管理職になっているケースが多いので、新たな知識の習得というよりも「考え方のアップデート」が研修の主目的になります。

一方でこのぐらいの年齢になるとほとんどの方はご自身の中で仕事に対する「こだわり」や「信念」が確立されています。(それがあるからこそ管理職になっていると思います)

「こだわり」や「信念」そのものは決して悪いものではありません。例えば「仕事で成果を出す」、「お客様の期待に応える」といった信念は仕事をする上ではプラスになります。

ただし、こだわりや信念が時には仇になる場合もあります。お客様の期待に応えることばかりを優先して部下を犠牲にしてしまい、自分がハラスメントで訴えられるということも考えられます。

そのため、場合によっては自分のこだわりや信念を一旦捨てることも必要になってきますが、年齢を重ねるほど難しくなります。

研修では受講者の方にご自身が無意識のうちにこだわっていることや信念に気づいていただき、それが仇になる場面を意識して職場での行動を見直していただきますが、実際に部下から「上司は人が変わった」と認知される人は良くて2~3割程度というのが実態です。(個人的には2~3割も変わればむしろ大成功と思いますが)

人が自らの「こだわり」や「信念」を捨てるとき

研修で「変える」のはかなり難しいのですが、「変わった」という人の話を聞くと一つの共通点があります。

それは「自分の信念を貫いた結果、強く後悔する羽目になった」という経験をしていることです。

例えば「良かれ」と思って部下に厳しく接した結果、部下がメンタルを病んでしまい、有望な部下の前途を自分自身が潰してしまったという後悔です。

ここで重要なことは単なる失敗体験ではなく、後悔の感情が自分の中から湧いてきたかどうかです。

単なる失敗体験なら、周囲がいくら厳しく非難しようが本人が後悔しなければ「こだわり」や「信念」を捨てることはありません。

しかし自分で自分が嫌になるような経験であれば、自分が今まで正しいと信じて疑わなかったことを初めて振り返ることができるかもしれません。

キャリアの中でこのような経験を意図的に積ませることができるかどうかはまだ研究の余地がありますが、いずれにしてもいくつかの条件が揃わないと人はなかなか変わらないと思います。

とはいえ、孔子も70歳までは変わり続けることができたので、確率は低いかもしれませんが「人間はいくつになっても変われる」という希望は持ち続けたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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