孔 令愚|人材育成コンサルタント(アルー株式会社、新領域開発部)

ダイバーシティ、人材育成、異文化などを中心に、仕事で「人」を観察して感じたことを発信し…

孔 令愚|人材育成コンサルタント(アルー株式会社、新領域開発部)

ダイバーシティ、人材育成、異文化などを中心に、仕事で「人」を観察して感じたことを発信しております。人間が引き起こす悩ましい問題をどうにかするのが私の仕事です。更新は不定期です。 元マクドナルドの店長。中華民国(台湾)籍、日本在住45年以上、大相撲が大好き

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研修講師やOJTトレーナーのような「人に教える仕事」もAIに奪われるのか?

ChatGPTの登場によりAIの可能性が一気に広がりました。 世の中がますます便利になる一方で、「自分の仕事がAIに奪われるかもしれない」という人も以前より多くなるかもしれません。 私のような「人に教える仕事」については今まではAIに取って代わられる可能性が少ないと言われていましたが、ChatGPTを実際に使ってみると決して安心できないことがわかりました。 結論から言いますと、「入社したばかりの新人にビジネスマナーを教える」といった「正解があること」を「学ぶ意欲がある人

    • 組織に「多様性」が必要な理由は「某B社の不正事件」でよくわかりました

      今ではすっかり”流行り言葉”になった感もある「多様性(ダイバーシティ)」ですが、いざ「本当に組織に多様性が必要なのか?」と問われると誰もが納得できる答えはなかなか出せません。 教科書的な回答をすると、 多様性があることで新しいアイディアが生まれる 多様性があることで生産性が上がる 多様性はイノベーションの源泉である といったことになりますが、これだと「うーん、確かに無いよりは有ったほうがいいけど・・・」という反応をされることが多いです。 おそらく本音の部分では「多

      • 「鉄道アクセスが悪い場所はあまり栄えていない」というのは思い込みだった件

        先日所用で日本のとある地方都市に出かけたのですが、目的地の「最寄り駅」までは東京からまず新幹線に乗り、在来線に乗り継いで行くようなところでした。 一応新幹線との接続駅から特急が出ているものの、調べたら「単線、非電化のローカル線」なので本数が少なく、特急を含めて1時間に1~2本という少なさです。 たまたま行きは特急の時間と合わず普通列車で行くことになったのですが、これも東京のような10両編成の「電車」ではなく2両編成の「ディーゼル車」ということがわかりました。 そんなわけ

        • 「人に迷惑をかけるな」という話は、「いつ」「誰が」言い出したのだろうか?

          異文化理解の研修でよく次のような問いを受講者の方に投げかけます。 この問いの意図は「自分自身の文化背景」に目を向けていただくことですが、その際に9割以上の方から次の答えが返ってきます。 だって日本人は”小さい頃”から「人に迷惑をかけるな」と教わってきたから・・・以上! まあ確かにそうなんですが、この「人に迷惑をかけるな」という教え方が実に厄介で、そもそも「何が迷惑行為なのか」という具体的な基準を子どもが判断できるはずもありません。 行列に割り込むことを迷惑行為だと捉え

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          日本でアルバイトの時給が「2500円」になったら面白いことが起きそうです

          最近街中を歩くと「アルバイト募集」のポスターがよく目に入ります。 今まではあまり気にしていなかったのですが、ある時都心のマクドナルドの募集時給が1300円になっているのを見てちょっとびっくりしました。 というのも私が30年前にマクドナルドでアルバイトを始めたときの時給が750円(高校生は700円)でしたので、当時を思い出すと「よくあんな安い給料で働いていたな・・・」と思ってしまいます。 ちなみに法律で定めた最低賃金はこんな感じで上がっています。 これを見るとマクドナル

          日本でアルバイトの時給が「2500円」になったら面白いことが起きそうです

          「多様性」とは言うが、「嫌いなものは嫌い」で全く構いません

          「多様性」とか「ダイバーシティ」の話になるとこういう言い方をする人がたまにいます。 それは「多様性は”すばらしいもの”だから、みんな受け入れましょう」という言い方です。 すると今度はその言い方に対して猛反発する人が出てきます。 「私は多様性なんか認めたくない!」、「多様性を認めたくない多様性も認めろ!」といった人です。 私は普段は多様性を推進する立場ではありますが、実は後者の気持ちのほうがよくわかります。 というのも、「私は多様性を認めない」という人は多様性そのもの

          「多様性」とは言うが、「嫌いなものは嫌い」で全く構いません

          集団内の問題に対するメンバー全員の合意形成はかくも難しいと痛感した話

          私は今のマンションに引っ越してからずっと管理組合の理事をやっています。 自分から望んで理事になったというよりも「他にやる人がいなかった」というのが理由であり、引っ越した早々管理会社から「理事になってくれませんか?」と打診され、替わってくれる人もいないのでそのまま8年以上経ちました。 幸い他の理事の方も皆さん良い人で、理事会の活動を通じていろいろ貴重な経験を得ることができましたが、その中でも一番難しいと思ったのがマンションの問題に対する所有者全員の合意形成です。 例えば私

          集団内の問題に対するメンバー全員の合意形成はかくも難しいと痛感した話

          「目の前の仕事に全力で取り組む姿勢」が仕事をつまらなくしている可能性

          目の前の仕事に全力で取り組むことはとても大事なことです。 目の前の小さな仕事にすら全力で取り組めない人が大きな仕事を任せられることはないので、私もよく新入社員研修で「コピー用紙の補充のような仕事でも”雑用”と思わず、全力で取り組みましょう」と教えていました。 ところがこの「目の前の仕事に全力で取り組む姿勢」が実は仕事をつまらなくしているのではないかと考えています。 以前ある企業で中堅社員向けに研修を実施したとき、受講者の皆さんは現場の業務を最前線で支えている方々であり、

          「目の前の仕事に全力で取り組む姿勢」が仕事をつまらなくしている可能性

          職場で起きる”やっかいな問題”は「誰も悪くない思考」で考えてみる

          企業が社員に対して研修を行う理由は大きく2つあります。 1つ目はシンプルに「社員の成長のため」ですが、これは如何せん緊急性が低い話なので、研修を企画するほうも受講するほうも気長に考えることができます。 私がよく関わるのはどちらかと言えば2つ目のほうで、それは「人の問題が起きたので何とかしたい」という理由です。 例えば、社員が不適切なことをする、会社の方針が守られない、人が定着しない、仕事に対する意欲が低い、といった企業として看過できない問題が起きたとき、「社員に行動変容

          職場で起きる”やっかいな問題”は「誰も悪くない思考」で考えてみる

          「多様性」を尊重するなら「マナー」ではなく「ルール」が重要になります

          今年の大型連休は3年ぶりに完全無制限になったせいか、どこもかしこも混んでいるようです。 私は有休を取って谷間の平日に旅行に行きましたが、それでも観光地のロープウェイに乗るのに30分近くは並びました。 もっとも連休の真っ只中は同じロープウェイの待ち時間が3時間という情報もありましたので、私たちはまだラッキーなほうかもしれません。 さてこれだけ人が多くなるとあちらこちらで「観光客のマナーが悪い問題」が出てきます。 ・公共の場所でのマナー ・乗り物に乗るときのマナー ・食事

          「多様性」を尊重するなら「マナー」ではなく「ルール」が重要になります

          「日本のほうが幸せ」という人の属性について考えてみました

          何年か前から定期的に「日本の生きづらさ」をネタにした記事を目にします。 心の中で「そうだ!そうだ!」と共感している人もいれば、いい加減にこの手の話にはウンザリという人もいると思いますが、こういう“日本生きづらい系”の記事が時々出てくるいうことは、やはり実際に「生きづらい」と感じている人がそれなりにいるということかもしれません。 私自身は外国人として日本に45年以上も住んでいますが、私にとって日本はむしろ「生きやすい国」だと感じています。 というのも、私にとって大事なこと

          「日本のほうが幸せ」という人の属性について考えてみました

          「生身の他人」との距離の取り方がわからない「コロナ時代の新入社員」の話

          今月もいくつかの企業の新入社員研修に講師として登壇してきました。 ここ数年の新入社員の傾向でもありますが、今年特に強く感じたのは 「新入社員のお行儀がよい」ということです。 例えば講師が話しているときは全員がこちらに顔を向けてくれます。 ひと昔前なら講師の話を聞かずに隣の人と私語をしたり、よそ見したりする人もチラホラ見かけましたが、今年はそのような新入社員は皆無です。 ただし、「お行儀がよい」のはあくまで研修中の話であり、休憩時間になれば思いっきり「学生」に戻ります。

          「生身の他人」との距離の取り方がわからない「コロナ時代の新入社員」の話

          AIに奪われる心配がないのはむしろ「体を動かす仕事」のほうかもしれない

          AIの進歩で肉体労働の仕事は奪われ、人間には「創造性が必要な仕事」や「コミュニケーション力が必要な仕事」ぐらいしか残されないようなことが言われてきましたが、ChatGPTなどを見ているとそれらの仕事も安泰とは言えなくなってきたようが気がします。 イラストレーターやライターといった絵や文章を「創造」する仕事も生成AIが代替できるようになり、お客様からの苦情メールも対話型AIがうまく返信してくれるようになっているので、「机に座って頭を使うだけの仕事」はいずれ失業するかもしれませ

          AIに奪われる心配がないのはむしろ「体を動かす仕事」のほうかもしれない

          AIはとても”賢い”のですが、「面白いか?」と言われるとちょっと微妙かも

          ChatGPTが登場してから世の中が何かとざわついています。 さすがに「AIが人類を滅ぼす!」という話は大げさな気もしますが、知識を持っているという点や論理的に考えるという点では人間を超えているので、「ホワイトカラーが全員失業する」のは案外現実的な問題かもしれません。 さてこのChatGPTですが、当初は私もいろいろ”遊んで”みたものの、ここ最近は全く触っていないことに気づきました。どうやら私は早々と飽きてしまったようです。 確かにChatGPTに質問すれば大抵のことに

          AIはとても”賢い”のですが、「面白いか?」と言われるとちょっと微妙かも

          これからは「対人力」より「対”変人”力」のほうが重要になるかもしれません

          世の中の働いている人のほとんどは何らかの形で「他人」と関わっています。 会社員であれば上司、部下、同僚と一緒に仕事を進める必要があり、自営業であってもお客様や取引先とコミュケーションを取る必要があるため、一定の「対人力」が求められます。 私どものような研修会社でも社会人向けに「対人力」を身につける様々な研修プログラムを提供しておりますが、実際に研修の場で受講者の方にお話を伺うと「対人力」を身につけただけでは対応できない問題に悩んでいることがわかりました。 これが何かとい

          これからは「対人力」より「対”変人”力」のほうが重要になるかもしれません

          自ら「脇役」に徹する「スーパースター」がいるチームはものすごく強い

          日本中が熱狂したWBC(ワールドベースボールクラシック)が終わりました。 投打の二刀流でMVPに輝いた大谷選手や、準決勝でサヨナラヒットを打った村上選手の活躍は多くの人の記憶に残ったと思いますが、個人的に最も感銘を受けたのはほとんど出番が無かったあるスター選手の振る舞いです。 それが西武ライオンズの山川穂高選手です。 山川選手は昨年パリーグの二冠王(ホームラン、打点)に輝いた日本球界の「スーパースター」であり、間違いなく「主役」を担う存在ですが、それがWBCでは村上選手

          自ら「脇役」に徹する「スーパースター」がいるチームはものすごく強い