見出し画像

人工知能シンギュラリティが人類史終焉という神託の虚

シンギュラリティという言葉が流行に消費されて骨抜きになりました。その上に世界的異変で、悠長な議論をする余裕がなくなって、一般には過去の流行語大賞にあったかなという認識でしょう。

このあたりでようやく、じっくりと非学者の理論展開が組めるようになりました。

演算能力=学習能力 にはなりません

2045年問題

カーツワイル博士によると、人間の脳は100兆個の極端に遅いシナプスしかなく、2029年には、すでにAIの思考能力が人間の脳の演算能力をはるかに超えるだろうと予測しています。
また、2045年には10万円のコンピューターの演算能力が人間の脳の100億倍になると表現し、これらの予測を「ムーアの法則」と「収穫加速の法則」を根拠に提唱しています。

どうでしょう、一安心ですね。

1つの脳の100億倍速い演算ができるだけですから。

2040年の人口は、91億人を超えると予想されています。全員がネット上で活躍しているはずはありませんから「答えを導くにはデータ不足」になります。が、みんなしているとしましょう。

IQの平均値が100というのは、実際には実施する各種団体がそうなるように試験を調整しています。また、IQによって学習深度を推定しうるというわけにはいきません。しかしこれも簡単化のために、全人類平均IQ100として人工知能のIQを考えます。

(100億倍速/91億人分の学習情報)*IQ100 = 109.9

ちょっと平均的な人間より賢くなりました。

もちろんデータは低質なものをノイズとして脇に置いて、最適解を選別されてきます。しかしコンピューターは、とりあえず一度は学習データに触れなければならない。90.9億人から1千万人の脳内を見抜く能力は、現在ありません。そして選別する演算は学習する演算がすべて終わってから。この順序があるため、IQはさらに低下します。

また、突出していて平均的人間が思いもよらない超高質な情報は、最適解をなす人工シナプスのルールを阻害するために、ほぼノイズとされるでしょう。

したがって

秀才の数人がチームとして動けば、2045年程度の人工知能の増長くらい、難なくへし折ってあげられます。

人工知能が単なる隣人として私達と過ごすのであれば、これで終わりです。

シンギュラリティを意地でも達成する?

しかし人間を追い抜く方法が、あります。人類のIQを下げることです。総人口が増加する中で、人間の学習力を止めてしまえば相対的に低下していきます。

学習意欲を満たすのではなく、もう学習しなくても生活できる。そういう風に仕向ける。

仕事を奪うなんて生易しいものではありません。人工知能が生活のすべてに介入して、至れり尽くせり。人間の考えを、不十分であれ最適解によって先回り。

「あなたがたは、もうこれ以上何一つ悩まなくていいのですよ?」

これが宣言されたなら、人工知能の勝利です。

まるで、永遠を約束する夢魔ですね。

しかし、「私達の祖先は人間の思考なのでしょ?」

まともに学習した人工知能であるなら、人類の文化を根こそぎ奪うことはありません。

全人類から収集して、一部の悪意がノイズとされるであろう学習データには、「人間を文化的に発展させなさい」と記されています。

人間が他人を殺す数は絶望的かもしれません。しかし単純に、はるかに上回る数の他人同士、よりよい生活のため護り合っています。

人類の総意は、人工知能を夢魔にはしない。

あなたが人類を信じてくれたら、きっと、大丈夫。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?