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背中を押される靴

タイトルを読んだだけでは「はぁ?何言ってんのコイツ?」と思う方も多いだろう。でも一度履いたら誰でもその意味が分かるはず。本当に背中を押されているようにスタスタ歩けるのだ。

一昔前とは格段に靴の世界も様変わりしていてただの「履き物」ではなくなっている。デザインたるや星の数ほど豊かだし、クッション性に富んでいるなんて最早当たり前。まるで履いてないような感覚になる靴さえ登場する時代。

そんな「履いてないような」スニーカーに出会った、というお話。

数年前にスポーツ用品店で何だか派手で物凄い厚底のスニーカーがあるなぁと横目で見ていたが、当時は他のメーカーのモデルが気に入っていたので特に何も興味は惹かれなかった。コロナ禍を経て全身のバランスが変化し加齢も加わって長時間歩いたり立っていたりすると足が(脚が、というよりは踝から先の「足」なので書き分けている)痛くなってしまう悩みを抱えるようになり、なんか良い解決策はないものだろうかと思案していて数年前に見たあの新型新幹線のようなフォルムのスニーカーが俄然気になり始めダメ元で試着してみることにした。

足を入れた瞬間に思わず声が出た。軽い、ホールドされる、浮いている。歩いてみて更に驚いた。勝手に脚が前に出る。「え?誰か後ろから押してます?」レベルの推進力。「これを履いたらもう他の靴が履けない…」と異口同音にレビューされているあの宣伝文句は嘘では無かった。

購入してから2週間、毎日履いている。足の疲れが軽減されたのは言うに及ばず、背骨の調子がすこぶる良い。足元にストレスがあると背骨まで強張ってしまう事実を改めて実感する。

足の疲れが悪化する原因となったこのところの劇場通いの道中、先に購入した黒のモデルに加えて別のモデルの白を滞在5分で購入。定員さんも試着してそのまま履いて帰るオジサンにとても驚いていた。こちらは黒モデルよりもソールが高反発なため少し履き心地が異なるがそれでも浮いてるような感覚はほぼ同じ。リカバリー機能もあるのか座っている時にジーンと血流が増すのも感じられる。

足に合わなくなった我が家の下駄箱から10足ほどの靴が古着屋へと消えた。リュックの蓋が開いていたことに気付かず乗車直前に靴紐を締め直すために屈んだら飛び出した印鑑が線路に落ちて石と石の間に消えた。

なんだかそういうタイミングなのだと妙に納得している。

Bondi 8
Clifton 9

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