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デザインを学ぶためのおすすめ書籍4冊

フリーランスでWebデザイナーをしている山下です。デザイナー歴はもう20年ぐらいになります。

私は本で勉強するのが好きなので、今までたくさんのデザイン本を買ってきました。本棚がいっぱいになるので、定期的に断捨離しているのですが、「これはずっと手元に置いておきたい」と思うおすすめのデザイン本をご紹介します。

ご紹介するのは、どれも出版年が古めですが、内容がめちゃくちゃ濃いので今読んでもたくさんの学びがあります。


レイアウトの教科書。 実例から読み解くデザインの型

雑誌、書籍、PR誌からWebに至るまで。すべての文字情報のレイアウトには『型』がある。80年代雑誌の黄金期から『an・an』『クロワッサン』『Tarzan』..など数多くのエディトリアルデザインを手がけてきた著者が、自らの経験から見えてくる「デザインの型」をユニークな視点で語る、実践的レイアウトの『教科書』。

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ページのさまざまなレイアウトに独自の型を命名して解説しています。
(例えば見開きの対角軸に沿って複数のビジュアルを配置し、残りのスペースをテキストを配置したレイアウトは「列島型」)

「快く美しい情報伝達」のために、どのようにレイアウトすべきなのか、そのヒントが随所に書かれています。

この本の欄外には、コラム記事がたくさんあるんですが、それがどれもおもしろい!そこだけ読んでも十分ためになります。

コラム記事のタイトル一例です。

  • 説明的な写真は右に、感覚的な写真は左に

  • 奇数好みの日本

  • 作り手は「打太刀」読者は「仕太刀」

実はこの本、買ってからずっと本棚にあったものの、型の名前が小難しそうでなかななか読み進められませんでした。数年前に改めて読んでみたら、めちゃくちゃおもしろくて、もっとはやく読めんでおけばよかったと後悔しました。


実例で学ぶ「伝わる」デザイン

読み手に「伝わる」デザインとは何か?「伝わる」ためのさまざまなデザインアイデアは、何をきっかけに生まれるのか?
エディトリアルデザインのパイオニアであるアレフ・ゼロが実際の現場の仕事を通してデザイナーの思考過程をたどり、その「理由」に迫ります。

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実例をもとに、制作までの思考ポイントと完成デザインを解説しています。こういうオーダーだからこう考えてこうデザインした、というのがわかりやすく、制作過程を見ているような感覚を味わえます。

中には、最初のデザインに対してアートディレクターからこんな指示が入り、その結果こうなりました、という事例もあって、めちゃくちゃ臨場感があります。

この本の中の好きなフレーズを一部ご紹介。

「伝わる」ことは、「やさしくする」ことではなく、知的欲求のスイッチを入れること

実例で学ぶ「伝わる」デザイン

一本筋を通す、思いっきりのいいデザインが逆に、主役を降ろされたものも救う

実例で学ぶ「伝わる」デザイン



魅せるデザイン、語るレイアウト。―プロの実例から学ぶエディトリアルデザインの基礎

雑誌の黄金期から『an・an』『クロワッサン』など多くの媒体のアートディレクションに携わってきた著者が、現場の経験から培ったレイアウトの方法論を、自らのデザインした作例をもとに解説する実践的レイアウト術です。時間とページ空間という制約の中で、文字とビジュアル要素という素材をいかに料理していくかというテーマに沿って、現場でしか得られない実践的ノウハウが650点の実例とともに凝縮された渾身の一冊。

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情報の網羅性がすごく、デザインについてしっかり学べる教科書のような本。写真やイラスト、図版、文字などのデザインを構成する要素についても、細かく解説しています。

文字が小さくて、文章量も多い上にページ数も多いので、読破するにはかなり労力がいると思いますが、読み終えたらかなりの知識になると思います。


ちなみに上の3冊はすべてアレフ・ゼロという会社が書いていて、今は合併してコンセントになったそうです。


デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング

デザインを学ぶには、理屈だけでなく実際に手を動かし、自分でデザインすることが欠かせません。本書は基本的な図形や文字、色による平面構成から、実践的なレイアウトまでを、実際に手を動かして学ぶことのできる画期的なトレーニングブックです。本書をひととおり学習することで、「視覚的な表現としての論理」を理解して、デザインを組み立てるための基本的なスキルを身につけることができます。

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この本はよく紹介されることがあるので知っている人も多いと思います。実際に練習問題を解きながらデザインを学ぶことができ、初心者の方におすすめです。

個人的には、この本の中に出てくる「内的必然性がデザインを形作る」という考えにとても共感しています。

デザインをはじめる時に「このあたりに見出しを入れる」というようにラフを描いたりするかもしれません。このときに、ただ「要素を配置する」と考えてしまうと、見栄えだけの問題になってしまいます。そうではなく、「ページのこの部分に、この役割・機能を割り当てる」と考えてみます。

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング

ただ要素を並べていくのではなく、意思をもってそこに配置する、という心掛けは忘れないようにしたいです。

もう一つ、この本の中で私が一番好きなところです。

デザインの仕事を始めてから少しして、迷いが生じてしまったのか、どうにもうまくデザインをまとめられない時期がありました。ところが、ある仕事をしていたときに、なぜかその時は迷わずにすっとデザインをまとめることができたのです。
〔中略〕
魔法をかけられたように。
振り返ってみれば、あまり成果のないように見えた日々が、実は少しずつ自分の力になっていたのではないかと思うのです。
〔中略〕
私は、こんな風に考えています。毎日何かをしつづけるということは、長い長い魔法の呪文を唱え続けていることなのだと。

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング

成長ってなかなか目にみえづらく、デザイン力のなさに落ち込むこともたくさんありますが、続けることで確実に力をつけているのだと励まされます。今この瞬間も長い長い魔法の呪文を唱えている途中だと思い、がんばろうと思えます。

まとめ

どの本にも言えることですが、普遍的なデザインの理論や手法などを解説しつつも、著者自身のデザインに対する考えや思想、流儀などを知れることが、とてもおもしろいです。

また新しい本を見つけたら追加していきたいと思います!

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