二人展を終えて
少し時間が空いてしまいましたが、無事宇部市での展示“Joint Exhibition"を終えました。足を運んでくださった皆様、気にかけてくださった方、本当にありがとうございました。
そしてお声をかけてくださった南さん、GLYCINESさん、一緒に展示をしてくれた奈保子さんには感謝の気持ちが尽きません。
オランダに滞在していた中で、アウトプットをすることは思っていた以上に手軽にできてしまう(して良いのだ)と思えたし、30年ほど生きてきてようやく、表現ということをしても良いのかも、と思えるようになった。
これまで自分の中に確固たるものなんて何もなくて、誰でも撮れるような写真しか撮れないし、そんな写真に何の意味があるんだろう?って思っていた。
日本人はやたらと自分らしさという言葉を言いたがるけれど、実際、自分らしさなんてものを自覚して生きている人はどれだけいるんだろ?多くの人と同じように、わたしも自分らしさややりたいことなんて特になく生きてきたし、それが見つけられない人たちの気持ちもよくわかる。
だけどヨーロッパ滞在中、好きなだけ写真を撮りたいと思っていたし(それが渡航の主たる目的でもあったから)、撮るべき瞬間はないかとものすごく意識的に、敏感に日々を過ごすようになった。
そこでようやく、自分らしさというものが腑に落ちたというか。ああ、自分はこういうことに心が振れるんだなって。そういう感情の機微や小さな選択の積み重ねが、自分や自分が撮る写真を構築しているんだなぁと実感を持てるようになった。
奈保子さんとは今回が二度目の再会だったわけだけど、展示の準備の段階から会期中もずっとそんな話をして、本当にたくさんの言葉を交わせた。日々が深まるごとに、上手く言葉にできていない抽象的なこともなんとなく共有できたような感じがして、とにかくすごく濃く、尊い時間だった。
こんな風に心を寄せられる人と人生であと何度出会えるんだろうって本気で思う。ここまで寄り添えたのは展示のおかげでもあるし、それだけでも展示をしてよかったなぁ。
奈保子さん以外にも、会期中は表現についてたくさんの方と会話ができた。その時間があまりに愛おしくて、展示が終わったあとは達成感と同じくらい寂しい気持ちに浸ってしまった。
これからも自分の心地よい範囲で写真を撮り続けていきたい。写真を撮ることや表現をすることは楽しいことばかりではないけれど、たくさんの気づきや踠きを齎してくれるから。
ただ、これまでは自分の中に種まきをするような日々だったけれど、これからは他人の中にも種を撒いていけたらいいなと思う。だから撮るだけで終わらせない。拙い写真と表現が誰かの心に、小さな揺らぎを生み出すことを願っている!
本当に良き時間をありがとう。
naoko.a.saito
GLYCINES
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?