職場の送別会を辞退した、というわりかししょうもないことについて

ことのあらましと、自分のこれまでとか

  2015年から出向・常駐していた客先を離れることになり、4月から新天地でお仕事をさせて頂いている。久々の開発ベースの仕事につけ、正直それだけで嬉しく、まず相対的には非常に豊かな気持ちである。あ、私システムエンジニアです。

前の職場では少々役回りの変遷を経ていて、

* 大きなプロジェクトでの開発、リーディング(1年2ヶ月)
* DevOps的に開発したそのシステムの保守に入り、切り盛りしつつ
   並行してアーキテクチャ乗り換えの推進などに携わる(2年)
* それまでと全く別のシステム保守チームに移り、保守遂行(7ヶ月)

という形で携わった。

  最初の開発は非常に大きく炎上した案件であり、がむしゃらに向き合う中成長しながら、PMや顧客の信頼を得ることができたりもした(下がりに下がった状態から、の相対的なものではあるが)。
  その後の保守では開発に十分に携われないことに多少のもどかしさを感じながらも、顧客や同業(競合)他社との調整に奔走しコミュニケーション面での成長、業務・利害を超えた人脈の形成など別角度での財産を得ることができた。

  しかし最後の7ヶ月で大きく自分のポテンシャルを崩してしまうこととなった。
担当にあてがわれたシステムの稚拙で粗悪な既存コードと、陰鬱なチームの雰囲気。非効率性とリスクばかり抱える業務。何も得るものの無いままただ時間が過ぎていく焦燥の日々が続いた。薄れていく技術研鑽への意欲についてもどうすることもできず、カードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」に再会するやのめりこみ、現実から目を逸らしてやり過ごす日々であった。
  「遅刻します→言った時間よりさらに遅刻します→午前休になります」という流れで勤怠変更の連絡を入れた経験も数えると片手では足りない。最終日ですら「今日で終わる!」という喜びよりも「今日まで行かなければならない」という憂鬱が勝り、まさにこの形という有様であった。…

それで、送別会なんですが

  そんな有様で退かせて頂いた現場のチームの一人から、送別会の連絡が来た。
離任から2週間たって。いや確かに間に合わないけど後でやりましょうって言ってたの覚えてるけどさ。呆れるほどすさみ果ててる様を見せつけていたと思うんだが。やるんですか…
  で、タイトルに書いてある通り、辞退の返信をした。建前上の理由を添えて。

* 自分が主賓の飲み会はこっ恥ずかしいので遠慮したい
* 新しい職場は出張も多く、加えて資格試験なんかもあるんで時間がとりづらい

  くだけた表現と当たり障りない理由で逃げたつもりだ。本当の理由は以下のような感じ。

* 先月までのことを思い出したくない。
* 過去過ごした不毛な時間にこれ以上縛られたくない。
  (これだけ苦しめられたのに、さらに未来の時間まで奪おうというのか。)
* 出席し酒が回ればおそらく暴れ、参加者に迷惑をかけるだろう。
  (実際最終日、別の飲み会で俺の時間返せとかわめきながら暴れて上司に噛み付くなどした)

どうなったか

  連絡元からはこちらを非常識だと暗に、いや露骨にか非難する書きっぷりの、午後の仕事に多少支障をきたすくらいには動揺もしよう、そんな内容の返信を頂戴した。そりゃそうだ。
  腹に一物抱えながらも、それなりに愛想振りまいてやってきたのが、ガラガラ崩れ無に返る感覚に多少なりとも後悔の念に駆られた。
 
* 一人一人は嫌いではないし感謝もしているが、やはり暗く常識に囚われた、自分とは相性の悪いチームであったのだ。
* この送別会も慣習に囚われただけの、本心から自分を労っての開催ではない。断って正解だったのだ。
とかなんとか、相手を卑下した理由をこねくり、自分を落ち着かせたりした。

この件から学びえること

  普段移り気で流されやすく、行動と気持ちが一貫していない、という生き方をしていると、何かに踏み切ったときにそれまであったものを失うものである。それが本質的に自分に必要であるかはさておき、失うときには痛みを伴う。
  自分の本心に従った意思表示、ひいては生きる哲学がなければ必要以上の歪みが生まれるものだ。
  今回、自分を守るためにと断ったが、いくばくか正当な理由があったとて失礼なことをした、と思う感覚は忘れるべきではないのだろう。必要な摩擦を受け入れ、自己、他者双方を尊重する行動をとっていきたい。今回で言えば、茶化さず本当の理由を伝えたほうが誠実だったかもしれない。

   いい年してまだこんな事でうだうだしているのかと思うとやるせなくもなるが、これを機としていい加減、自分の心のままのんべんだらりと生きるための歩みを進めていこうと思う。そのための摩擦で生まれる、一時の心のささくれのようなものをいたわりつつ。

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