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世界がやさしかったので、ペーパードライバー講習を受けた

やろうと思えばなんでもできるけど、自分が本当にやりたいことは何なのか知っている賢い女性

経営学を猛勉強し、ビジネス書を読み漁っていた 21 歳頃の私は、とある経営学書で出会ったこの言葉(たしか 1960年代ぐらいに老舗の化粧品ブランドが掲げていた自社の顧客像。出典を探したけど見当たらなかった)にたいそう感銘を受け、当時大好きだった水原希子ちゃんの画像に、パワポでこの言葉を入れて印刷して、デスクの前に誇らしげに飾った。

と、あの頃の私はイタくとも、この言葉は偉大だ。
10年以上経った今も変わらず、自分がこうありたいと思う理想の人間像にこの言葉がある。

さて、6月の終わり、 #母のルーティン ブームに乗っかり、自分のルーティンを noteで晒した。するとみるみるうちに集まる友人たちからの「エライ!」「よくやってる!」「超人!」という賛辞の声。お世辞とは分かってはいながらも、自分にとっては何気ない毎日のこと、むしろみんなもっと頑張ってるじゃん… これごときで毎日大変アピールしてるの炎上しないかな… と恐縮全開の気持ちで公開したゆえ、思いも寄らない反響に、私は、私は、、、、

ペーパードライバー講習を受けた

こんなことで褒められるなら、私もっとできるんでないの? と思ったのだ。
今ならなんでもできる気がする! なぜなら私は超人! と、素直さゆえの無双モードに突入していた。

”やろうと思えばなんでもできるけど、自分が本当にやりたいことは何なのか知っている賢い女性” を目指したいのに、どうしても自分にはできると思えないこと、それが運転だった。

もともと二人目の子供が1歳ぐらいのタイミングで、コロナも後押ししてマイカーを購入し、そこから家族で出かけるときは基本は車移動に。とはいえ平日に車を動かすことはほとんどない(雨の日の子供の送迎ぐらい)。

当方、34歳。ゴールド免許持ちだが、最後に運転したのは16年前の奈良自動車学校でのこと。教習所以外で運転することが一切ないまま月日が過ぎ、アクセルとブレーキの位置すら定かではない。運転席に座っている私の姿なんて、私を知る人の誰も想像つかないだろうし、私ですら信じられない。自分があの大きな鉄の塊を公道で動かして人々を危険に晒すということが恐怖以外の何ものでもない…!

だけど、だけどよ。
平日の昼間にスーパー銭湯に行ったり、雨の日に颯爽と車で駅まで夫を迎えに行ったり、一人でコストコに行って爆買いしたり、夫なしでママ友たちと子連れで出かけたり、夫と交代で運転しながら車で帰省したり… 車が運転できるようになったらやりたいことは沢山あった。今の私にとってはどれも別の世界線での出来ごとだ。車さえ運転できれば、どこまでも広がる世界。あの人もこの人も、なんてことない顔で運転しているし、自家用車はいつだってそこの駐車場にあるのに。

そんなわけで、ぐずぐず悩むこと約2年。
色々と調べては「ふーん…」を繰り返していたのに、この #母のルーティン 騒動をきっかけに「えいやっ」と翌週のペーパードライバー講習(2時間×3日間コース)を予約した。そこはペーパードライバーを専門に教習を行う民間の業者で、教習者に対して、とにかく優しく指導することをウリにしていた。家の近くで自家用車を使って練習に付き合ってくれるタイプのものだったが、初日に自家用車を大破させるようなことになったら… とビビリすぎて、初日だけレンタカーでの教習を依頼。で、ワンクリックで予約が完了。

すでに達成感が凄い。この感覚はレーシックを予約したときにとてもよく似ていた。十年以上も悩み続けていたことが、ものの5分で解決し、少し呆気にとられる。

いざ、ペーパードライバー講習

そんな達成感もつかの間、次は緊張と不安に襲われる。講習の数日前からYouTubeでペーパードライバー向けの動画を見ながら必死にイメトレした。アクセルとブレーキの位置、エンジンのかけ方、よく見る道路標識の意味など、自分が免許持ちだとは口が裂けても言えないような情報をひっそりと入手。前日の夜は緊張で胃をキリキリとさせながらも、ブイブイと車を乗り回している自分の姿を想像して高揚…!

そして当日、私よりも年下と思しき若い女性教官が、手配したレンタカーで家までやってきてくれた。空いている時間帯のドラッグストアの広い駐車場に車を停めて、基本的な車の機能を丁寧に説明してくれる。私が「こんなことは聞けない」と勝手に思っていたエンジンのかけ方や、アクセルとブレーキの位置も、こちらが聞かなくともしっかり教えてくれた。この日はドラッグストアの駐車場の中をぐるぐる周回して終了。最初は、運転席側に座っていることすら信じられなかったけれども… やることなすこと盛大に褒めてくれる優しい教官のおかげで楽しく教習を終えられた。

ご近所ペーパードライバー講習の良いところは、自宅付近のいつもの道や、よく行くスーパーや公園など、運転できるようになったあとの毎日をイメージできることだ。駐車の練習も、自宅の駐車場や近所のスーパーの駐車場などを使って行う。駐車券を持って買い物して、駐車券を処理してもらって出庫する、というところまでセットで練習したりとかなり実用性が高い。

もちろん利用者の運転の目的によって違うのだろうけど、私は「子供の送迎ができるようになりたい」「ちょっと遠めのスーパーに行けるようになりたい」と最初から伝えていたので、2日目以降の教習では、それを想定したルートを練習した。自家用車の運転席のブレーキに特注のステッキみたいな器具を取り付けて、いざというときは助手席からブレーキを押してくれる。自宅の駐車場から出発して、保育園、そしてまた駐車場に戻って駐車、というコースはひたすら5回ぐらいやった。

一日2時間を、3日間。料金にして、約5万円。
正直こんな短時間で自分が運転できるようになるわけがないと思っていたけれど、最終日には、ごく自然な所作として、車のキーを持って自宅を出発していた。毎回同じ先生にしてもらったので、「今日はどんな教官だろう…」みたいな変な緊張もないし、運転に集中できた。そして何より、運転している自分に少しだけ慣れた…! すごい、すごい。

ペーパードライバー講習、偉大だった

教官や教習所によって当たり外れはあると思うけど、ペーパードライバーを専門に教習している業者は、ペーパードライバーという人種の気持ちをかなり理解してくれているのだと思う。

確かに免許は取ったはずだが運転が怖い、と、どこかで挫折したり、自信を失ったりした人間が相手だということを意識しながら接してくれる。「これは覚えていますよね?」と試すような言葉が出てくることはなかったし、とにかく褒めて自信を取り戻させてくれる。現に私の先生は、私が質問すると「その質問が出てくること自体が素晴らしいっ!」と褒めすぎなまでに褒めちぎってくれた。そうして少しずつ自信を取り戻し、アクセルを踏む力に元気が出てくる。人はやっぱり、誰かに褒められると安心したり、ほっとしたりする生き物なのだ。

教習の先生にも「怖い気持ちもあると思いますが、特に初心者には ”運転って楽しい” ”もっと運転してみたい” という気持ちが大事です」と言われたのが印象に残っている。

ペーパー講習を受けるにあたって一般的な自動車教習所で行っているペーパードライバー講習も調べたけど(むしろそれが主流だと思っていた)、やはりあちらは免許の新規取得がメイン市場なので繁忙期はペーパー講習を受け付けていなかった。それならばと出会った専門業者、出会えて良かった、ありがとう、、、!

▽ 大変大変お世話になりました🙏🔰(not PR)
https://www.winwintool.com/paperdriver/

ペーパードライバー講習の、その後

もちろんこのあとすぐに独り立ち、というわけにはいかず、その後は週に1回ぐらい夫に助手席に乗ってもらって、近所を運転するというのを続けている。

そもそも私が運転席に座っているというだけでめちゃくちゃにビビっていた夫だけど、私が「運転ってたのし〜」と声に出しながら運転すると、「お、いいね」とちょっと安心した顔になっていた。同乗2日目には運転する私の写真を撮る余裕まで生まれていた。

待受画面にしたいぐらい嬉しい一枚

34歳の夏、16年の月日を経て切り拓かれた、新しい世界に乾杯! 時間と費用と勇気を引き換えに手に入れたこの世界、簡単に手放すつもりはない。という気持ちでこれからも引き続き、自主練に挑む。熟練ドライバーの皆さん、初心者マークを見かけたら、まじで優しくしてください!!!

いや〜〜〜 改めて….. 
#母のルーティン を読んでくれた方からのお世辞がなければ、私は一生ペーパードライバーだったと思う。発案者の 縁側ちゃん は恩人よ。

ありがとう世界!  私は今日も無敵!!!

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