サクセッションプランニングとは?

「サクセッションプランニング」という用語をご存じでしょうか?
ジョブ型や人的資本開示の流れで、よく耳にする言葉です。また人事コンサルが大好きな言葉の1つでもあります。

グロービスのMBA用語集によると以下のように説明されています。(前半は的確ですが、後半は実情とは少し異なります)

採用と配置を考える時、従業員個人やそのキャリアから発想する「人ありき思想」と、必要とされる職務から発想する「ポジションありき思想」の2つがある。サクセッション・プランニングは「ポジションありき思想」の人事計画の1つである。

サクセッション・プランニングとは、(例えば「○○事業部長」など)あるポジションを取り上げ、短期・中期・長期それぞれの視点で潜在能力を持っている候補者をリストアップし、そのポジションに就くまでに必要なトレーニングや業務経験を積ませていくものだ。これは健全な「人のフロー」を推進するために必要不可欠である。

「ポジションありきの思想(ジョブ型)」とあるように、典型的な欧米型人事制度の1つですね。
「職能制度」「ジェネラリスト主義」が中心だった日本企業には馴染みがないように見えますが、グローバル化に舵を切っている大手日系企業では当たり前の考え方ですし、ISO30414の中でも人的資本可視化の柱に据えられていますので、今後日本企業にももっと普及していくことでしょう。

※先日アステラス製薬の後継者育成のことが日経新聞でも触れられていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC169WW0W2A910C2000000/

一般的には「部長」以上からが、サクセッションプランニングの対象になることが多いです。一般的な会社で例えるなら、「CEO」や「事業部長」といった要職でしょうか。

先程のグロービスの定義では、後半の説明で後継者は社内で「育成」することが前提に記載されています。
ただ、人材層の豊富な大企業でない限り、重要ポジションの後継者が上手く育っている、というケースはまだまだ少ないのです。そのため、社内からの育成だけでなく、外から適任者を連れてくるということが必要になります。
ちなみに欧米の企業では、育成と外部調達の割合は1:1くらいなイメージです。
また、ビジネスモデルが大きく変わるような変革ステージの企業の場合には、内部の人間では育成に限界があるため、外部から連れてきてポジションを埋める場合が多いです。

さて、サクセッションプランニングをこれから導入する企業にはどんな施策が必要になるでしょうか?
以下のような例が考えられます。

・要職ポジションを明確に定義する(求められる業務と能力)
・現状のポジションの充足度を可視化し、必要な候補者数を決定する。
・何年かけてポジションとその候補者を準備するか決める
・ポジションに求められる能力を可視化する手段を整える(アセスメント等)
・ポジションに求められる能力を身に付けるためのトレーニングを整える

また、近年の日系グローバル企業においては、日本人/外国人の垣根を設けずにポジションを定義し、サクセッションプランニングを設計している会社が多くなっています。



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