リターン トゥー フォーエバー(9)

You’re everything 2

「君が全て…」

突然謎の死を遂げた兄弟分
僕達は同性愛者ではないが
互いを必要としていた、と思う
もしくは僕だけが彼を必要としていたのか
少なくとも僕の孤独をその明るさで救ってくれたのは彼だ
そして他の友人との橋渡しになってくれたのも彼だ

学校を出てしばらくは一緒のバイトをしながら都内の彼のアパートで
ほぼ同居していた
若さゆえに毎日飲んだ
その日暮らし
何者でも無いというのは何と楽なものだろうか
持て余した体力と何の根拠も無い愚かな希望的観測と少しばかり持ち合わせた
外見の良さ
それだけで当面何の不満も無かった
いや、むしろ満たされていた

僕がヒビの入ったグラスだとしたら
漏れゆく酒を継ぎ足してくれていたのは彼だった

You’re everything

ぬるい海風の中、僕のヒビから少しだけ涙が漏れ出た
海は相変わらず無駄に生命に溢れて見えた

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