そのパブリックドメイン画像はあなたの企業や個人ブログで使って本当に大丈夫ですか?
パブリック・ドメインの画像なのに商用利用禁止!こんなケースが多く存在するのを知っていますか?企業だけでなく個人ブログにも関係する問題です。
はじめに
近年、質の高いパブリック・ドメインなどの無料画像が多く利用可能になってきています。特に、信頼性の高い世界中の博物館などが提供するようになってきました。大変ありがたいことです。印象派のルノワールの名画など、魅力的な画像が無料で公開されています。これらを利用したことがある方も少なくないでしょう。
しかし、ここで、知らないと甚大な損失を被りかねない大きな問題があります。それは、パブリック・ドメインの画像であっても、商用利用禁止のような利用ルールが美術館などによってしばしば設定されていることです。
パブリック・ドメインの画像は主に著作権の保護期間を過ぎた画像です。よって、「パブリック・ドメインの画像であれば、特にルールや制約なく利用できるでしょ?」と思っている方も少なくないようです。
しかし、事実として、利用ルールが設定されているケースは多くあります。しかも、利用ルールに反してしまうと、罰金を課せられてしまう場合もあります。
利用ルールにはいろいろあります。この記事では、商用利用に関連した次の二点を主に扱います。
1,上述のようなパブリック・ドメインの画像はそもそも商用利用可能か?
2,そのパブリック・ドメインの画像は、収益化された個人ブログや動画チャンネルなどで利用可能か?
なお、この記事では、パブリック・ドメインやクリエイティブ・コモンズ・ゼロの画像のように、著作権によって保護されていないような画像を主に念頭に置いています。ただし、どちらであるとも言われずに、無料で商用利用可能なケースもありますが。
1,美術館などが無料で公開しているパブリック・ドメインの画像は商用利用可能か?
→無料では商用利用不可のパブリック・ドメイン画像は数多存在します
商用利用との点で考えるなら、画像は大まかに二種類に分けられます。
1,パブリック・ドメインだが、(無料では)商用利用禁止。
美術館などのウェブサイトで、これらの画像は無料で公開されています。しかし、商用利用する場合には、料金を支払う必要があります。例えば、フランス国立図書館がそうです(https://gallica.bnf.fr/edit/und/conditions-dutilisation-des-contenus-de-gallica)。
2,パブリック・ドメインであり、商用利用が可能。
それぞれの利用規約において、商用利用も可能であるとか、いかなる目的でも利用可能だと規定されている画像。この場合は、無料で公開されている画像を無料で商用利用できます。
ここで、注意点が二つあります。
第一に、パブリック・ドメインの画像を公開している美術館などのウェブサイトでは、同時に、著作権で保護された画像も無料で公開されていることが一般的です。よって、おめあての画像がパブリック・ドメインかを確認する必要があります。
第二に、画像の出典情報を記載する義務が課せられている場合もあります。例えば、日本の国立国会図書館がそうです。利用規約で確認しましょう。
2,パブリック・ドメインの無料画像は収益化された個人ブログなどで利用可能か?
→ケース・バイ・ケースの厄介な問題というべきでしょう
多くの個人ブログなどは、アマゾン・アソシエイトのようなアフィリエイトやグーグル・アドセンスなどを利用して、収益化されています。このようなブログなどは、一方で、個人ブログであるため、画像を「私的」に利用しているといえるかもしれません。しかし、他方で、利潤を得る手段になっていますので、画像を商用利用しているとみなされる可能性もあります。
多くの場合、収益化された個人ブログなどで画像を無料で使用してよいかは、判然としません。利用ルールに、このようなケースが想定されていないと思われるフシがよくあります。
しかし、個人ブログでも収益化されているなら、もはや画像を無料では利用できないというようなルールを設定しているケースもあります。いかなる仕方であっても利潤を生み出す場合には、無料では利用不可である、と。
よって、「個人」のブログやサイトだから大丈夫、とタカをくくるのはリスキーだといえるでしょう。
当記事の主題にかんしては以上です。次の記事では、フランスのルーブル美術館やスペインのプラド美術館のように、画像が(無料では)商用利用不可のケースを具体的に紹介してみる予定です。
おわりに
なお、私のウェブサイトにて、無料で商用利用も可能な画像を提供する世界中の美術館などを紹介しています。上掲の分類でいえば、「2,パブリック・ドメインであり、商用利用が可能」な無料画像を提供する美術館等だけを紹介しています。100以上の美術館などのサイトを見て回り、その中から21を選出したものです。ぜひお立ち寄りください。
●免責事項
この記事の内容の正確性にはできる限り配慮していますが、100%正しいということを保証することはできません。判断に迷う場合には、美術館などのウェブサイトにてメールなどで直接問い合わせてみることをおすすめします。
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