水野忠邦は焦っていた。幕府に金がないのだ。ヨーロッパ列強に対抗するための軍備増強をしようにも、金がなければ出来ない。

 徳川家斉(11代将軍)が酷かった。贅沢が好きで、側室も40人を越えていた。そのくせ、政治には興味を示さなかった。

 天保の大飢饉もあり、皆が疲弊していた。

 水野忠邦は、質素倹約により、幕府財政の建て直しを。風紀の乱れには、贅沢の禁止や取締りの強化を。江戸周辺にある、大名・旗本の土地を取り上げることで幕府の収入増と防備の強化を図った。

 この改革はわずか2年で頓挫する。多くの反対にあい、水野忠邦は失脚させられたのだ。水野が老中をやめた時、多くの庶民が彼の屋敷に石を投げつけた。

歴史は、人間が創るドラマです。特に、幕末はたくさんの英雄が出てきます。そんな時代とその時代の人たちを小説にしたいと思いました。