見出し画像

厳島の戦い

はじめに

皆様、いつも読んでいただき、ありがとうございます。前回に引き続き、毛利元就を書いていきます。よろしくお願いします。

元就は、54歳の時に井上一族を討滅し、支配権力を強固なものにしました。井上一族の罪状について家臣団から異論がない旨を記した誓詞を提出させ、これまでの連合体に似た勢力だった毛利家を変革し、元就を中心とした毛利家が上に立つことを認めさせました。

そして、大寧寺の変が発生します。陶隆房の謀反により、当主の大内義隆が倒され、新政権が誕生したのです。隆房は、新しい当主に大友氏から晴英(大内義長)を迎え、偏諱を受けて晴賢と改名しました。

厳島の戦い〜前哨戦と謀略〜

晴賢の政権に対し、石見国津和野三本松城の城主であった吉見正頼が抵抗を始めます。彼は、義隆の姉婿とうい立場もあり、敵対行動をとりました。1554年3月、晴賢が攻撃を開始します。元就は、これを好機と捉え、陶晴賢についた安芸国の国人領主を確固撃破し、安芸国を平定してしましました。

この動きを見て、晴賢は、元就を倒す必要があると判断します。家臣の宮川房長を派遣し、元就討伐に向かわせます。そして、元就と宮川房長は折敷畑でぶつかります。毛利軍3000程度に対して、宮川軍は7000、陶軍全体では20,000ほどです。大きな兵力差があります。しかし、この戦いは、機先を制した元就の勝利に終わり、宮川房長は討ち死にしてしまいました。この戦いにより、晴賢は、元就を倒すことを決意し、吉見正頼と和睦し、元就攻略に本腰を入れるのでした。

前哨戦は勝利したとはいえ、圧倒的な兵力差があります。そこで、元就は、得意の謀略を仕掛けます。まず、晴賢の重臣筆頭であった江良房栄を謀略にかけて晴賢に殺害させます。事件の経過は、次の通りです。元就は房栄に寝返り工作を仕掛けます。しかし、これは、最終的に拒否されてしまいます。しかし、ここで元就は諦めません。離間策に切り替えます。晴賢の周囲に江良房栄謀反の噂を流し、晴賢の房栄に対する疑念を高めていきます。そんな折に房栄より「元就とは講和すべき」との進言があると、逆にこれを謀反の疑念を固めてしまうことになってしまいました。そして、彼を殺害してしまったのです。

厳島の戦い〜本戦〜

元就は、晴賢を徐々に弱体化させていきました。そして、決着をつけるべく、動き出します。元就は、厳島を決戦の場として選定し、城を築きます(宮尾城)。ここでも元就は、謀略を仕掛けます。元就の重臣、桂元澄(元就の本拠地、吉田郡山城の守将、元就は出陣中)から晴賢へ内応の書状を送らせます。元澄は、次の手紙を晴賢に送ります。晴賢が厳島を攻めたら、背後から攻撃するという内容のものです。晴賢はこれを信用してしまったようです。

1555年9月21日、晴賢は厳島へ進撃します。翌日の22日には到着していますが、宮尾城は攻撃しませんでした。桂元澄の「元就が宮尾城救援のために厳島に上陸したところを前後で挟み撃ちにしよう」という内応を待っていたと言われています。元就は、27日に出陣し30日は上陸します。30日の夜は、暴風雨でしたが、それをおして渡海しました。このため、晴賢は、元就の上陸に気付きません。10月1日、毛利軍は攻撃を開始します。突然の攻撃に陶軍は浮き足立ち、大混乱におちいります。そして、晴賢は山口へ逃れようと船を探しましたが、見つからず、島内の高安原にて自害しました。

完勝した毛利軍は、そのまま大内義長を攻撃し大内家を滅ぼします。安芸国だけでなく、大内家の領土(周防・長門)も掌握することに成功したのです。

厳島の戦いの時、元就は59歳です。安芸国の小さな国人領主から出発した彼は、目の前の困難を乗り越えていきながら、安芸国を代表する勢力へとなりました。ここで陶晴賢に従う選択肢もありながら、一歩間違えれば滅亡に繋がる挑戦をしています。積み重ねたものが多くなると、それを失うことへの恐怖も出て来ることもあると思います。元就に勝算があったと思いますが、挑戦することにより西日本を代表する大大名へと駆け上がることになったのです。

元就が59歳で厳島の戦いで勝利し、さらなる飛躍を遂げました。私は、このことを書きたいと思い、毛利元就を取り上げました。次回、厳島の戦い後の元就とまとめを書いていきたいと思います。


記事を作成するに際し、以下の書籍を参考にしました。

小和田 哲郎,「毛利元就  知将の戦略・戦術」,凸版印刷株式会社, 2013年1月
吉田 龍司, 「毛利元就 猛悪無道と呼ばれた男」, 株式会社新紀元社, 2010年9月
本郷 和人, 「戦国武将の解剖図鑑」, 株式会社エクスナレッジ, 2015年11月
童門 冬二,「毛利元就ー鬼神をも欺く知謀を持った中国の覇者」,株式会社PHP研究所,2009年3月

この記事が参加している募集

日本史がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?