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春の唄“桜咲く国” (江戸川蘭子)。

今年の下半期のNHK朝ドラが「ブギウギ」。その名が示す様にヒロインのモデルは笠置シヅ子でして、今週は大阪の松竹大阪少女歌劇団(劇中は梅丸少女歌劇団名義)を卒業する迄が描かれています。その回のラストで、男役娘役ら団員がステージで披露するダンスのBGMが「桜咲く国」です。大阪・東京双方の松竹歌劇団のテーマソングであり、レビューの冒頭やフィナーレでは必ずと言って良い程歌われました。昭和4年に大阪の詩人岸本水府が作詞、作曲は音楽部長で指揮者でもある松本四郎で、その松本が見出したのが笠置であるとされています。同年に上演された「春のおどり」で御披露目され、直後に生徒らに声楽を教えていた井上起久子がレコーディングして、コロムビアから発売。宝塚の「すみれの花咲く頃」より地味ながらも、長い月日をかけて歌われて行きました🌸。

此処に挙げたのは娘役スター江戸川蘭子が歌うバージョンで、スピーディな編曲で吹き込まれています。三番構成でソロパートは2番のみ、他はすべて合唱になっており、先行した井上起久子盤のガチャガチャした雰囲気とは打って変わって、スマートで流麗なサウンドになっておりました。恐らく紙恭輔か田代輿志辺りの編曲家が担当しているのでしょうか、サックスやトランペットなどのブラス陣の勢いがとても心地よい仕上がり。江戸川蘭子は春野八重子、熱海芳江らと共に娘役として大活躍し、退団後はビクター専属歌手としてタンゴなどを録音しています。裏面は井草鈴子と合唱団の歌う「セ・サル・プランタン」で、こちらはマーチテンポの胸弾む歌。恐らくはレビュー「東京おどり」のオープニングテーマとして書かれた楽曲と推察され、レコは昭和8年初夏に発売されています😀。

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