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ニッポン娘 (ヘレン隅田)。

ヘレン隅田の歌う「ニッポン娘」。若杉雄三郎作詞、細田義勝作曲で、歌手のヘレンはその名前の通りアメリカ生まれの日系2世でした。昭和8年にコロムビアから同じ2世の川畑文子がデビューし、続々とアチラのジャズソングを発売すると、思いの外よく売れるので各レコード会社は本場の感覚を有する2世歌手を欲する様になります。明けて昭和9年春に来日したのがヘレン隅田でして、当時の彼女はまだ16歳でした。本名を隅田寿美子と云いまして、カルフォルニアのフレスノに生まれ育ったヘレンは幼少期からピアノを習い、早くも15歳でタレントとしてサンフランシスコの劇場で初舞台を踏みました。踊りは勿論の事、器用にピアノを弾きながら歌う等才能に富んだ彼女を放っておく事など出来ません。ビクターが獲得に動いて、昭和9年初夏に「可愛い目」でデビューしました🎼。

「ニッポン娘」は彼女の通算12曲目の録音で、ジャズソングではありません。タイトルからして明るく楽しい歌かと思いきや、陰鬱なブルースになっております。歌詞はせっかく遥々母国に帰って来たものの、言葉も上手く話せないアメリカ生まれの日本娘の孤独を歌っていて、月明かりだけが差す暗い部屋に飾られた人形が項垂れている光景を思い浮かべます。しぼり泣くようなヘレンの歌い振りはジャズソングとは違う魅力に溢れていますが、裏面に組まれた事もあったのか殆ど話題にはならなかった様な。渡邊はま子の「忘れちゃ嫌ヨ」を書いた細田義勝の作曲なので、曲風が非常によく似ています。良い曲ですが、その辺りが目新しさに欠けた可能性もありますね。ヘレンは19曲を録音し、昭和12年に帰米しました。A面は徳山璉の「恋の並木路」で、昭和11年夏の発売です😀。

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