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恋の酒 (天野喜久代・日置静)。

天野喜久代と日置静の歌う「恋の酒」。安東英男作詞、益田銀三作曲で、松竹少女歌劇団がまだ『松竹楽劇部』と名乗っていた頃の演目「秋のおどり」の中で歌われた中の一曲です。西の宝塚少女歌劇に比肩する松竹楽劇部でしたが、当初は劇中で歌われた楽曲をスター達ではなく、知名度のある流行歌手に吹き込ませては、外部委託する形でレコード化していました。此処で天野喜久代が歌っているのは、当時の松竹楽劇部の声楽指導担当が彼女だったと云う事もあったのでしょう。此の時の「秋のおどり」が如何なる内容と構成だったのかは、私の手元に何の資料もないので一切不明ですが、丁度水の江瀧子がブレイクし出した時期とも重なります。ステージでは彼女や小倉みね子らが歌っていたのかもですが、真相はどうなんでしょうか。ターキーは後年「歌は苦手」と語っていましたし🤔。

「恋の酒」はワルツにハバネラのリズムを加味した意欲作で、伴奏にはバンジョー、カスタネット、ウッドブロック、サックス、フルート、タンバリン等が確認でき、全体的に妖艶な雰囲気と乙女の背伸びした憧れが詰まった様な暢気さが感じられます。短調の前奏の後で天野と楽劇部生徒連の合唱が入り、途中でメロディが長調に転じます。日置静も非常に澄んだ美声であり、駆け出し当時の初々しさが感じられ、対する天野は余裕ある豊潤な歌唱で乗り切ってました。短調→長調と交互に繰り返す二番構成の歌ですが、対象が10代の少女達と云うのもあってなのか、歌い易い愛すべき一曲。此処で一緒に歌う日置静は後にキングやタイヘイで活躍し、同時にマイ・ラッキー・ボーイと云う名前を駆使して幾つかの会社に出没するのですが、恐らくは此の「恋の酒」がデビュー曲かと思います😀。


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